見えぬ動機、背景に何が 逮捕男、男性と面識なしか 那須2遺体事件発覚から1週間

2人の焼損遺体が見つかった遺棄現場。すぐそばに花が手向けられていた=23日午後5時10分、那須町伊王野

 栃木県那須町伊王野の河川敷で男女2人の焼損遺体が見つかった事件は23日、発覚から1週間がたった。県警と警視庁の合同捜査本部の調べで、事件に巻き込まれた被害男性の足取りが少しずつ明らかになってきた。また死体損壊容疑で逮捕された男はガソリンや携行缶の購入、車を貸すなどの関与が判明する一方、被害男性とは面識がなかったとみられる。事件の動機は何か。なぜ那須町の山中に遺棄されたのか。指示役などの存在を含め、捜査本部は事件の解明を急ぐ。

 事件は16日早朝に発覚した。同日午前6時50分ごろ、同所の河川敷で、近くを車で通りかかった男性が遺体を見つけ、関係者を通じて通報。那須塩原署員が2人の焼損遺体を発見した。県警は死体遺棄事件として捜査本部を設置した。

 遺体の手足は結束バンドで縛られた状態で、顔は黄色いビニール袋のようなものをかぶせられ粘着テープが何重にも巻かれていた。近くにガソリンの携行缶のような赤い容器があった。

 捜査本部は別の場所で殺害後に車で運ばれ、火を付けられた疑いがあるとみる。

◆トラブルも

 遺体の身元は東京都千代田区、会社役員男性=当時(55)=と判明。もう一人は妻とみられる。

 事件発覚前日の15日夜、東京・上野の防犯カメラに、男性と女性がレンタカーに乗り込む姿が映っていた。午後11時過ぎには、品川区内で複数の人物と一緒にいる姿が確認された。

 関係者によると、男性は台東区を中心に十数店舗の飲食店を経営。近隣の別店舗と営業を巡るトラブルもあったという。

 都内で姿が確認された約8時間後、男性らは約150キロ離れた那須町の山中で遺体で発見された。

◆トクリュウ

 死体損壊容疑で逮捕された男(25)は、17日に都内の交番へ出頭した。調べに対し「車は頼まれて貸した」などと供述。男性との面識は確認されず、本県に土地勘はなかったとみられる。

 捜査本部は事件の背景に「闇バイト」や匿名・流動型犯罪グループを指す「トクリュウ」の存在があった可能性も視野に入れる。容疑者に指示した人物は誰か。複数人がどのように関与したのか。捜査本部は事件の経緯などの調べを進めている。

事件の経緯

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