B2青森ワッツ、再起へ一歩 支援の輪広がり経営危機克服 ファンら「集客努力を」

ホーム最終戦後、ワッツの選手が応援ステッカーを販売。ブースターも積極的に購入し、チーム存続に協力した=14日、青森市のマエダアリーナ

 青森県内初のプロスポーツチームが再興への一歩を踏み出した。23日、運営会社の新体制と、来季のプロバスケットボールBリーグ2部(B2)ライセンス交付が発表された青森ワッツ。3月上旬に経営危機が表面化してから、多くのブースターや企業はもちろん、リーグや他チームも支援に加わり、1カ月余りで道筋を整えた。ブースターや関係者は来季を迎えられることに安堵(あんど)し、将来にわたって地元に愛されるチームづくりを願った。

 「ワッツを絶対になくしてはいけない」と力を込めるのは、公募によるチームの名付け親、青森市の会社役員前田健栄さん(57)。2012年の創設時からのブースターとして、自らの人生にワッツを重ねつつ「チーム低迷など多くの局面を乗り越えてきたワッツには人生を豊かにする魅力がある。これからも地域ぐるみで盛り上げてほしい」と語る。

 ワッツの運営会社「青森スポーツクリエイション(ASC)」の経営危機が公になったのは3月2日。約3800万円の債務超過に加え、運転資金などに約5千万円が不足していることが会見で明らかになり、大きな衝撃が走った。

 その後、ASC社が開設した応援口座には県内外から多くの支援が相次ぎ、パートナー企業も援助。ブースターは交流サイト(SNS)などを通じて自主的に集まり、ワッツのポスターを掲示してもらえないか各店舗に頭を下げ、市民にチラシを配った。

 ワッツの危機に、同じ東地区の越谷アルファーズ(埼玉)も動いた。3月下旬、ホームで開いたワッツとの試合後、越谷の安齋竜三ヘッドコーチや選手たちがワッツの応援ステッカーを販売。越谷ブースターも列をなして買い求めた。リーグも新たなオーナー企業との調整などに携わった。

 一丸となった協力と努力が実り、わずか1カ月余りで運転資金5千万円を確保。ホーム最終戦となった14日にはリーグ発足後最多となる2844人のブースターが駆けつけた。ASC社の北谷稔行社長は「多くの協力がなければ、ここまで来ることができなかった。皆さんに支えられているチームだというのを改めて認識した」と感謝した。

 危機を脱したワッツだが、真価が問われるのはこれからだ。東京都から観戦に駆けつけている会社員武田達也さん(42)は「好調な今の戦力を来シーズンも維持できるかも問われている。強いワッツを見たい」と注文する。

 家業の内装業と並行してホーム戦のMCを務めている青森市の小倉勝茂さん(49)は、経営者の観点から「集客に向けてまだまだ努力できる部分はある。募金に頼らず、皆さんにチームを知ってもらうための取り組みが必要。青森のスポーツ文化を守るため、私も協力していきたい」と話した。

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