ただ「成長しているだけ」で選んではいけない…元証券マンが教える「50倍に上昇する株」を見極めるコツ

(※写真はイメージです/PIXTA)

人は保有している株に利益がのってくると、大きく育つのを待つよりも早く売って、その含み益を確定してしまいたいという思いに駆られます。ですが、それはその後の大きな成長のチャンスを逃す判断となってしまいます。本記事では『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)から、著者の〈かぶカブキ氏〉が、株価が何倍にも成長するのを待つための方法と、株価が大きく育つ銘柄を見つけるコツを解説します。

成功を疑似体験し、握力を鍛えよ

人は保有株に利が乗ると、その利益が大きく育つのを待つのは難しく、早く売ってその含み益を確定してしまいたいという思いに駆られます。

その一番の理由は、もともと人間の脳がそういうしくみになっているからなのですが、握っていれば利益が育つということを頭ではわかっていても、腹落ちできていないことも影響していると思っています。

株価は日々のさまざまな材料でランダムに動いていると思っていると、自分がほれ込んだ銘柄の値動きを信じることができません。握力が持たずに少し利が乗ると利益確定してしまうのは、これだと思った銘柄の株価が大きく成長していく経験をしたことがないことも影響しているのではないでしょうか。

「業績が株価を形成する」という株価の根本的な根拠が、腹落ちできていないのです。ですから、銘柄を握り続ける握力が足りない人は、過去に2倍3倍になった銘柄や10倍になったテンバガー銘柄など、短期的に株価が大きく上昇した実際のケースを知る必要があります。それは単に右肩上がりの株価チャートを見て、すごいなあと思うだけでは足りません。

上昇の初動から最高値を付けるまでの間、その銘柄にどんな環境変化があったか、どんなニュースがあったか、どんな決算が出たのかを調べて、そのときに株価はどんな反応をして、PERは何倍ぐらいになったか、そしてどんな動きをしながら上昇していったのかを、一つひとつ調べながら疑似体験していくのです。

「PERが〇倍のとき、時価総額は〇円ぐらいで、このときに〇%程度の成長率の数字が出て、ストップ高をつけたんだ」

「この決算では〇%も増益していたのに、なぜか株価は低迷し、その後、また高値を超えていっているな。謎に下がるケースもあるんだな」

などというふうに、決算の数字に対してその都度株価がどんな反応を示したのか、その後どのように動いていったかということを疑似体験することで、業績が順調に伸びていても予期せぬ下落に見舞われることが多々あることもよくわかります。

そして、山あり谷ありな値動きがあっても業績が伸びていれば、いずれ株価は上昇するということを心の底から理解して、腹落ちすることができると思います。

持ち株が時間をかけて大きく育った経験を持たない人が、この作業をすっ飛ばして、株価が2倍、3倍、そして10倍に伸びていくのを握力強く待ち続けることは難しいはずです。大きな利益を上げるだけの握力は、成功体験によって培われます。こうした成功体験を持たない人は、このプロセスを経て自分で握力を鍛える必要があります。

こうした株は、「大化け株」「テンバガー株」などと検索すれば簡単に見つけられます。その中には、特定の投資家によって株価が意図的に操作される仕手株や投資家の思惑だけで株価がジェットコースターのように急変動する製薬ベンチャーなど、業績が伴わないケースも混ざっているので、業績がしっかり成長している銘柄を選んでこのシミュレーションにトライしてみてください。

株価が何倍にも成長する感覚を味わうことが一度でもできれば、自分の持ち株で同じことを再現すればいいだけなので、握力は劇的に向上します。逆に上がらない株を塩漬けして資金を拘束し、こうしたチャンスを逃すデメリットの大きさも実感できるので、損切りも上達するはずです。

どんな銘柄を選べば、50倍株になるのか

そもそも、このように株価が2倍、3倍そして10倍、50倍と強く上昇していく銘柄とはどんな銘柄なのでしょうか。業績が伸びている銘柄を買えばそれでいいのでしょうか。

実はそう簡単な話ではなくて、業績が伸びていても、それが株式市場から十分に評価されてしまっていると、将来の業績成長の期待が株価に織り込まれていて既に高くなってしまっています。その段階に到達してからでは出遅れていて、その後の上昇余地はそれほど残っていない可能性があります。

要するに、大きく上がる株というのは、成長しているだけでは不十分です。「成長しているのに、その成長にふさわしい評価を受けていない企業」である必要があります

このことを、鬼わかりやすいたとえ話で解説しましょう。A君という学生がいるとします。彼はいまひとつパッとしない学生で、アルバイトで稼ぐお金は月5万ぐらいです。それでも、就活を死に物狂いで頑張った結果、高給で知られる超一流企業から内定を獲得することができました。

この瞬間が、「ごく普通の学生でしかなかったA君が、生涯年収で普通の会社員を大きく上回ることがほぼ確定したタイミング」になります。これはA君に対する周りの評価が、一気に変わるタイミングでもあります。親戚や友人にはすごいねと一目置かれ、A君のことなど眼中になかった周囲の女子学生も、彼を見る目が変わってきます。

なにしろA君は、今はまだ月収5万のバイト学生でも、翌年にはピカピカの高収入ハイスペック男性の仲間入りをするわけですから。このときがまさに、株でいう「成長しているのに、その成長にふさわしい評価を受けていない」タイミングです。現実にはA君の株は取引できませんが、もし買えるのならこのタイミングの前後で買うのがベストです。

株式市場でも企業がこうした局面に差しかかることが頻繁に起きており、このタイミングを狙えば非常に効率的に資産を増加させていくことができます。A君の場合は就活の成功がきっかけになりましたが、株式市場で同じことが起こるきっかけは、「業績の急激な変化」になります。

早く資産を増やしたいなら、常にこうした「業績の急激な変化」を探す目線を持って株式市場に向き合うことが重要です。

かぶカブキ

元証券マンの個人投資家

※本記事は『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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