プレーオフは関係ない、府中ダービーは譲れない!リーグワン第15節でBL東京×東京SGが激突!!

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前哨戦のつもりはさらさらない。3週間後に『NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 プレーオフトーナメント』がスタートする。2位東芝ブレイブルーパス東京と3位東京サンゴリアスは準決勝で再び顔を合わす可能性が高いが、手の内を隠すつもりもさらさらない。両軍とも目の前の『NTTリーグワン2023-24』第15節でひたすら勝利を目指す。なぜなら、BL東京にとっても東京SGにとっても府中ダービーは譲れないのだ。

前節戦線復帰したNO8リーチ マイケル主将は4月22日の定例会見で「テーマは勝つこと。勝って勝って、戦術を見せたり見せなかったりというよりも、いい準備を勝つ。タイトな試合になると思うし、ギリギリの勝負になると思う。本当に面白い試合になると思う。両チームとも調子がいいし、府中のファンから『観に行くから勝って』と言われている。府中ダービーは個人的に楽しみ」とキッパリ。

(写真左より)原田衛(東芝ブレイブルーパス東京)、トッド・ブラックアダー監督(同) (C)JRLO

トッド・ブラックアダー監督もキャプテンの考えに同調する。
「準備としてやりやすい。サントリーはすごいライバルなので、準備自体はシンプル。まず自分たちにフォーカスして、パフォーマンスをしっかり出すことが大事。できる限りのパフォーマンスを発揮し、そこから学びを得ること。そうすることで準決勝でさらなる準備ができるようになる。本当にテストマッチのようにワクワクしている。両チームの強み弱みが出るゲームになると思う。自分たちのモチベーションは高い。サントリーもアタッキングラグビーをしてくるので、毎回いいゲームになっているし、今週末もいいゲームになるだろう。自分たちのホストゲームなので、自分たちのラグビーをファン・サポーターに見せたいし、家族・スタッフにもいいラグビーに見せたい」

2か月ぶりに出場したリーチは現在のコンディションをこう説明した。
「(横浜)キヤノン(イーグルス)戦で肉離れをして、そこから6週間くらい休んでリハビリをして、前よりいい状態になっている。2週間前から状態は良かったが、再発しないように外からチームを見ていたのが良かった。若い選手が出て良かったと思う」

リーチは自身が不在の中、ゲームキャプテンを務めたHO原田衛らの成長に目を細めた。
「衛は若くて、僕がいない時に主将としてのいい経験ができた。トレーニングの準備や試合に向けての準備もいい経験ができている。これからどんどん成長して日本代表に入る選手だと思うので、どんどん成長していってほしい。
(LOアサエリ・)ラウシーも試合ごとに成長しているし、どんどん試合に出ればいい選手になると思う。(前節今季初出場したSO中尾)隼太も久々の試合で、雨のコントロールが難しい中うまくゲームコントロールしてくれた。(三重H戦でメンバー入りしたSH田中)元珠も出番はなかったが、今後東芝のスター選手になると思う」

ニュージーランド代表56キャップの司令塔リッチー・モウンガの活躍ぶりを改めて問われると、リーチはこう返答した。
「リッチーの良さは試合中のマネジメントが優れている。『どうしたらいい』『こうしたらいい』というベーシックな判断がいい。(『スーパーラグビー』の)クルセイダーズのようなカウンターをやりたがり、最初は慣れていなかったけど、今は同じ絵が見えるようになった。彼はスペースが見え過ぎていた。『SR』に比べてスローモーションに見えるので、『自分で行ってもいいし、周りも使ってもいいが、バランスが難しい』と言っていた。『そのまま自分の強みを出してほしい』と伝えた」

第13節・コベルコ神戸スティーラーズ戦は40-40、第14節・三重H戦は8-7とここ最近苦戦しているが、指揮官はむしろリーチ(三重H戦は後半4分から出場)とモウンガを欠いた中での戦いぶりを称えた。
「本当に成長できたと思う。ふたりの選手に頼るのはチームとして適した考えではない。選手層を厚くし、若い選手を育成していくのは大事だと考えているので、常に準備している。例えばトランプで持っていないカードを頼るのではなく、持っているカードで考えたい。ワールドクラスの選手がふたりいるが、その選手を頼るのではなく、しっかり自分たちのいる選手を使っていきたいと常々考えている」

リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京) (C)JRLO

父が死去し、一時帰国していたモウンガは4月21日に再来日した。モウンガと前節40分プレーしたリーチの今後の起用法は?
「リッチーはこの数週間メンタル的に大変な状況だったので、フィットネス、身体の状態を評価して決めたい。必要なトレーニングができているか確認して対応したい。リーチが戻ってこられて40分プレーできたのは自分たちにとって非常にポジティブなこと。準備ができているので、しっかり使うつもり。フィジカルは問題ない。素晴らしい選手なので、楽しみにしている」

ブラックアダー監督は2季ぶりPO進出を決めたチームをこう評価した。
「アタックでストライクできている。あと自分たちのディフェンスシステムを理解した上でラインスピードをうまく出している。あと去年と違うのはリッチーがいる。リーチも含めて、ゲームのマネジメントについて、しっかりリーダーシップを発揮してくれているのは去年とは違う」

もちろん、課題もある。ブラックアダー監督は「フォーカスしたいのはセットピース。ラインアウトをこの3週間で立て直したい。あとはディフェンス面。自分たちのエッジでのディフェンスを改善していないといけない。アタックはバリエーションも豊富にできている。ただプレーし過ぎてしまっている面がある。オフロードなど選手たちがワクワクし過ぎてミスにつながっている側面もある」と指摘した。

監督と主将は東京SGとの勝負のポイントを次のように挙げた。
ブラックアダー監督「自分たちのセットプレーを大事にして、自分たちが最高のパフォーマンスをすることが大事。スクラム、ラインアウトが大事になってくる」
リーチ「サントリーとの接点でどれだけ前へ出られるか、どれだけ止められるかがキーになると思う。あとは規律。セットプレーを安定させてそこから組み立てていきたい」

イザヤ・プニヴァイ(東京サンゴリアス) (c)JRLO

対する東京SGは4月23日にメディア対応を実施。全試合先発出場のSO髙本幹也と全試合出場のCTBイザヤ・プニヴァイは2季目に飛躍した理由をこのように自己分析した。
髙本「昨年も僕自身は試合に出るつもりで毎日練習していたし、それが良かったのでは。『1年目だから出られない』というマインドでは練習していなかった。それで試合に出られない理由をコーチと考えていた。プレシーズンにもう一回自分ができることを100%やった上で臨んだ。『サンゴリアスのアタックはどういうことなのか』『ディフェンスシステムがどういうものなのか』『この選手はこういう考え方をするのか』など基礎的なことを頭に叩き込んだことが今になって大きかったと思った」
プニヴァイ「シーズンのスタートから『今年こそやり遂げよう』と強い自信と大きな目標を立てていた。『自分史上最高のシーズンにしないとスタメンに出られない』と思った。今季は自分のプランニングに重きを置いている。映像を見たり、リカバリーしたり、やるべきことをすべてやったことで試合に自信を持って臨めるし、試合でベストパフォーマンスできていると思う」

プニヴァイが髙本のコミュニケーション能力を称えれば、髙本もコミュニケーションの重要性を説いた。
プニヴァイ「ミキ(髙本)はとてもコミュニケーションがうまい選手。ラグビーの全体像をつかむのがうまい。自分のやりたいことを明確に伝えてくれる。日本人、外国人にかかわらず、言葉の壁があっても、彼がどのプレーをどうしてやってほしいのか、クリアに理解できる。フィールド外でもとても面白い選手」
髙本「チームがやりたいことをコミュニケーションするのは当然、自分自身がやってほしいプレーやほかの選手がやりたいプレーを試合に向けてコミュニケーションを取っている。オフフィールドの会話がコミュニケーションにつながっていると思う。先輩と飲みに行ったり、イジー(プニヴァイ)はお酒を飲まないが、ご飯を食べに行ってコミュニケーションを取ったりしている」

来日当初は「1季だけ日本でプレーするつもりだった」とプニヴァイは明かした。
「ケガのケアというつもりで、6~7か月プレーして、再びSRに戻ろうと思っていたが、ここにきて2か月、日本が好きだと思った。サンゴリアスのラグビースタイルもコーチもチームメートも日本食も好きになった。自分のパートナーもニュージーランド人と日本人のハーフだったこともあり、パズルがハマった感じ。日本にずっといたいと思うようになるまでそう時間はかからなかった」

髙本は東京SGのアタッキングラグビーをリードする難しさと楽しさを口にした。
「めちゃくちゃ難しいが、自分たちのラグビーや自分の強みが出た試合は楽しいし、それを出すために毎日練習にしている。難しさと楽しさを感じている。ここ2~3試合続けてゴール前でスコアができていないので、POでは1回のチャンスで取り切らないといけないので、10番として取り切るマインドと取り切るコントロールが必要になってくる」

髙本幹也(東京サンゴリアス) (c)JRLO

ここまでBL東京が12勝1分1敗・勝点56で、東京SGが10勝1分3敗・勝点50。『トップリーグ』以降の府中ダービーの通算対戦成績はBL東京の16勝15敗とほぼ互角の様相を呈している。

果たしてBL東京が2位を確定させるのか、それとも東京SGが逆転2位の可能性を最終節につなげるのか。『NTTリーグワン2023-24』第15節・BL東京×東京SGは4月27日(土)・秩父宮ラグビー場にてキックオフ。試合当日はコーセーコスメポート 日やけ止め「サンカット プロテクトUV スプレー 60g」、オリジナル応援ペーパーキャップ&応援ボード、マッチデープログラムを配布(予定数に達し次第配布終了)。ルーパスガーデンでは車いすラグビー&デフラグビー体験やラインアウト体験会を実施するとともに、レトロゲームが楽しめるプレイエリア、京王DAY 府中ダービー特設フォトスポットも設置。チケット発売中。試合の模様はBS日テレにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

東芝ブレイブルーパス東京対東京サンゴリアス NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 DIVISION 1のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2412508&rlsCd=005&lotRlsCd=

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24の特設ページ
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/

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