米、競業他社への転職や競業企業設立を制限する労働契約を禁止

Daniel Wiessner

[23日 ロイター] - 米連邦取引委員会(FTC)は23日、企業と従業員の労働契約に、競合他社への転職や競業企業の設立を制限する「競業避止義務」を盛り込むことを原則禁止する規則を承認した。

FTCは競業避止義務により労働者の移動が制限され、賃金が抑え込まれていると指摘。競業避止義務の禁止により労働者の賃金総額は向こう10年間で4880億ドル増え、毎年8500余りの新規事業創出に結び付くとの推計を示した。

この規則は昨年1月に提案され、今年8月に施行される。

FTCのリナ・カーン委員長は、競業避止義務は労働者の機会を制限するだけでなく、転職を阻むことで基本的な権利を侵害していると指摘した。

新たな規則は、既存の労働契約に競業避止義務を盛り込んでいる企業にこの義務を撤回するよう義務付けている。

ただこの規則は、上級幹部との既存労働契約には適用されない。また非営利団体や一部の銀行、保険会社、航空会社など特定の業種はFTCの規制対象から外れている。

新規則を受け、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は「搾取的な慣行を禁じ労働者に機会均等を提供する強力な規則」と称賛した。

一方、主要な各種企業団体からは企業秘密保護や競争力促進のため競業避止義務は必要不可欠として批判が噴出。米商工会議所(USCC)は声明を発表し、法的異議を申し立てる方針を表明した。

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