保護者の6割弱「合理的配慮」聞いたことがない

障がいのある方が、社会の中で出会う困りごとや障がいを取り除くための「合理的配慮」という言葉を知っているか

イー・ラーニング研究所は2024年4月22日、「合理的配慮と多様性に関する調査」の結果を発表した。「合理的配慮」という言葉を聞いたことがある親は約4割、内容まで知っている親は1割以下にとどまり、まだ言葉自体が浸透しきっていないことがわかった。

「合理的配慮と多様性に関する調査」は、2024年3月5日から3月29日にかけて、子供をもつ親、親族に子供がいる人を対象に紙調査で実施した。有効回答数は570人。

2024年4月から、障害のある人が、社会の中で出会う困りごとや障害を取り除くための「合理的配慮」の提供が義務化された。「合理的配慮」という言葉を「聞いたことがある」親は約4割にとどまり、内容も知っている親は全体の1割以下と、合理的配慮に関する認知度が低いことがうかがえる。2024年4月からの義務化については「子供が多様性を考えるきっかけになると思う」との回答が7割以上ともっとも多く、子供へのポジティブな影響を期待していることがわかった。

また、「現在、身近で合理的配慮がされていると感じる場面はありますか」と聞いたところ、68.9%が「はい」と回答した。合理的配慮という言葉自体は知らずとも、普段の生活の中で行動自体は浸透しつつあるようだ。

「子供たちが多様性を学べる機会は十分に整っていると思うか」と尋ねたところ、「十分に整っている」と「整いつつある」をあわせても、全体の約2割という結果になった。まだ多様性について学べる環境が足りていないと考える親が多いことがわかった。多様性について学んでほしい時期の最多は「未就学児」で、ついで「小学校低学年」で、早い段階から多様性について学ぶ必要があると考えている親が多い。多様性教育の学び方としては、約7割の親が「学校等での対面授業」と答え、ついで半数以上が「学校以外のオンライン授業やセミナー」「ボランティア活動を通して」と回答した。子供たちがさまざまな体験や経験を通し、実際に感じたことを生かしながら、学んでほしいと考えていることがみてとれる。

子供たちが多様性を育んでいると感じるのは、「自分と違う意見や価値観をもつ友達との会話」「年の離れた人と接するとき」「海外の友達と触れ合うとき」などが多くの票を集めた。普段から人とのコミュニケーションの中で多様性を育んでおり、今後も全体の98.2%の親が子供の多様性を育む機会を増やしていきたいと考えていることが明らかになった。

中川和佳

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