【葬儀のマナー】喪服、アクセサリーなど服装の決まり事とは?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

最近では葬儀の規模は縮小化していますが、きちんと装う人が多くなっています。喪服はきちんと整えていても、靴や小物やコートなど、予想外のアイテムで恥をかくことがないように。日頃から心にかけておきたいですね。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんにお話を伺いました。

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喪主や遺族は正礼装

亡くなった直後は、なるべく地味な服装に着替え、女性は結婚指輪以外のアクセサリーをはずします。

通夜、葬儀・告別式には、喪主・遺族をはじめ、親族、世話役代表など喪家側の立場の人は、正礼装を身につけます。葬儀終了後も一周忌までの法要は正礼装です。

正礼装

喪主の和装

着物…五つ紋を染め抜いた黒無地を着るのが喪主の和装の正礼装。
帯…黒の帯に黒の帯揚げ、黒の帯留が一般的。
バッグ…金具のついていない黒のコンパクトなものを。
履物…足袋は白、草履は黒の布製、または光沢のない革製を。

喪主の洋装

ジャケット…あらたまったデザインで長袖か七分袖。肌の露出はできるだけ控えたものを。
スカート…スカート丈はふくらはぎの中間あたりまでくる長めのものを。
ストッキング…黒にストッキングを。黒でもタイツはカジュアルなのでNG。
靴…シンプルな黒のパンプスで、少しヒールのあるものを。布製であればより正式な印象。

会葬者は準礼装と略礼装

会葬者は、葬儀・告別式には準礼装、通夜はそれより略式な略礼装が適当です。本来、通夜は、地味な日常着でよいのですが、最近は、通夜に参列する会葬者も喪服を着ることが多くなっています。

女性の準礼装は黒無地のツーピース、アンサンブル、ワンピースなど。光沢のない素材で、上着は長袖、襟元のつまったデザインで、夏でも長袖や七分袖。透ける素材は避けます。スカートはひざ下丈のものを。

略礼装は濃紺や濃いグレーなどのスーツに黒のブラウスを合わせます。白いブラウスは避けます。

自宅で通夜が行われる際には、地味な日常着で。とるものもとりあえず弔問に行くわけですから、喪服では「準備万端」の印象を与えます。

準礼装の弔問客

ジャケット…袖は長袖か短くても七分袖まで。襟元に多少のデザインがあってもかわまない。
スカート…ひざ下3〜4㎝で座っても膝が見えない丈を。細すぎると立ち居ふるまいがしにくい。
バッグ…目立つ金具のついていない黒のバッグが基本。「殺生」を嫌う仏式葬儀では革製でなく黒無地の布製がベター。荷物が多いときにサブバッグを持つなら、やはり黒一色の手提げタイプを。
靴…プレーンなパンプス。低くてもヒールのあるものを。
ストッキング…黒のストッキングを。黒でもタイツはカジュアルなのでNG。

帽子をかぶるなら手袋も

最近では帽子をかぶる人もふえつつあります。お悔やみの席は室内なので、つばのないトーク棒を。帽子をかぶるなら手袋も必ず身につけます。

OK…短いベール帽か、ベールのないトーク帽をまっすぐに頭にのせ、黒い手袋を合わせます。

NG…喪主や親族も、胸元までくる長いベールは皇族用なのでNGです。

黒いトートバッグがあると便利

冬の時期は喪服の上にコートを着ていくことになりますが、コート類を預ける場所がないときは、式場に持ち込むことになります。腕に抱えていては焼香もままならず、椅子の背にかけるのは見苦しいものです。

コートの季節かどうかにかかわらず、弔事には、黒いトートバッグを持参するとよいでしょう。余分なものはバッグに入れてしまえば椅子の横に置くこともできます。

また、友人などの香典を託されている場合、会葬御礼の品は人数分渡されます。このようなときにも、大きめのバッグが役に立ちます。

ネックレスをするなら1連

悲しみの席の装飾品は、涙を意味するパールか、オニキスなどの黒い石だけ。喪服にはパールのネックレスやイヤリングをつけたほうが格は上がります。喪服だけより、心づかいが伝わるからです。

ネックレスは「不幸が重なる」ことを嫌い、2連は避け、1連のものを。パールは白、グレー、黒のいずれでも格に差はありません。

黒やグレーのコート、傘を用意しておく

寒い時期や雨の日に通夜や葬儀・告別式に行ったり、外で出棺を待ったりするときなどは、コートや傘が必要です。

喪服はきちんと整えていても、コートや傘の準備がないと、派手な傘やコートは目立ってしまい、せっかくの弔意も台無しに。普段使いもできる黒やグレーのコートや傘を用意しておくと、どんなときにも困らずにすみます。

オーソドックスな形の黒いコートを1着持っていけば、長年使うこともできます。いざというときのために用意しておくといいですね。

※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月20日に配信した記事を再編集しています


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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