すい臓がんの治療を阻む「障壁」を形成するタンパク質を特定 治療成績の改善に期待 岡山大

岡山大学学術研究院のヘルスシステム統合科学学域と医歯薬学域(薬)は、22日、東京大、東北大とともに、すい臓がんの治療を難しくしている「線維化障壁」の形成にタンパク質「ROCK2」が関与することを明らかにしたと発表しました。

すい臓がんは、がん細胞を取り囲むように線維化するのが特徴で、薬剤のがん細胞への到達を阻む「障壁」となっていました。

研究チームは、がん患者由来の線維芽細胞を立体培養して試験管内に線維化障壁を再現しました。そして、解析の結果、タンパク質「ROCK2」がコラーゲンの過剰沈着等の異常過程に関わることを突き止めました。

この「ROCK2」を標的化することで、コラーゲン沈着量が約6割減少し、がんを治療する薬剤の通過効率が約4倍増加したということです。

すい臓がんの5年生存率は約1割に留まっており、 今回の研究成果は新たな治療法開発の足掛かりになることが期待されるとしています。
これらの研究成果は3月29日、科学雑誌『Journal of Controlled Release』に掲載されました。

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