Adobe、Photoshop最新ベータにテキストから「画像を生成」機能を搭載

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Adobeは1年前、画像編集ソフトのPhotoshopにAI生成機能を使った「生成塗りつぶし」機能を追加したが、現在最新のベータ版には、Photoshopアプリ内で直接、簡単なテキスト文から画像を生成する「画像を生成」機能が追加されている。

さらに、AIが既存の画像から直接、インスピレーションを得て新たな画像を作成したり、背景をこれまでよりも簡単に生成したりする新機能も加えられている。

PhotoshopのシニアマーケティングディレクターであるErin Boyce氏は、これら新機能により、「頭の中にあるものをキャンバスに移す」ことが以前より簡単になったと説明している。

これらの新機能はシンプルに「画像を生成」と呼ばれ、「ゼロからのハイクオリティなコンテンツ作成」を可能にするものだとAdobeは述べている。

「生成塗りつぶし」機能もアップデートが加えられて、点線で囲った部分に、元の画像には全くなかったオブジェクトなどAIで生成してシームレスにはめ込むことが可能になった。たとえば、キレイな状態のサラダ皿の上に、AI生成で様々な種類のトマトを並べたり、AIが生成したクマが持つアコースティックギターを、テキストプロンプトだけで複数のバージョンのエレキギターに置き換えるといったことが可能になった。

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こうしたAI生成機能は、Adobe Fireflyの最新バージョンである「Firefly 3」で実現されている。AdobeはすでにFirefly 3を使って70億枚以上の画像が生成されたと述べている。

こうしたAI画像生成機能の活用はAdobeに限らず、様々な企業の様々な製品で見かけるようになった。しかしその一方で、これらの技術に用いられるAIのトレーニング用データに著作権の含まれるメディアが使用されたとする報告も相次ぎ、生成AIを開発する企業はアーティストや作家、その他のクリエイティブ・プロフェッショナルからの厳しい視線に晒されている。

Adobeは、FireflyはAdobe Stockからのライセンスによるメディアで学習したと主張している。ところが、Bloombergが最近伝えたところでは、Fireflyもまた、Midjourneyと同様にライバルのAIが作成した画像で部分的に学習されたと報じた。これに対し、Adobeの広報担当は、学習データに使われた画像のうち、ライバルとなる画像生成AIが生み出したものは5%に満たないと述べた。

またAdobeは、Photoshopの生成AIツールを使用して作成された画像には改ざんを防止するための「コンテンツ認証情報」が自動的に含まれると述べている。それがどのように画像に含まれているのかは分からないが、メタデータや透かしなどで入れているのであれば、それを除去する方法もないわけではなく、悪用に対する完全に信頼できる防御策とは言えないかもしれない。

ともあれ、Photoshopのベータ版にアクセスできるユーザーはすでに、進化したAI生成機能を試すことが可能になっているので、興味があれば最新ベータ版をダウンロードして見ると良いだろう。またFirefly 3はAdobeのサイトで無料で試すことが可能だ。

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