「低空経済」の発展が加速 中国黒竜江省

「低空経済」の発展が加速 中国黒竜江省

 【新華社ハルビン4月24日】中国黒竜江省ハルビン市でこのほど、小型無人機(ドローン)メーカー、ハルビン聯合飛機科技の大型無人ヘリコプター産業基地の建設が正式に着工した。総投資額は25億元(1元=約21円)に上る。

 同社の孫立業(そん・りつぎょう)総経理によると、プロジェクト全体の建設期間は2027年までで、完成後の年間生産額は10億元になる見込みで、無人機産業規模は50億元以上になることが期待される。

 中国東北部の歴史ある工業基地である同省は、「低空経済(低高度飛行活動などによってもたらされる総合的な経済)」の新たなルートの獲得競争を加速させており、「低空経済」新興産業の発展と創造を積極的に進める現在の中国の縮図となっている。

 23年末に開催された中央経済工作会議では、バイオ製造、商業宇宙開発、低空経済など幾つかの戦略的新興産業を育成することが示された。今年は「政府活動報告」に「低空経済」が盛り込まれ、この新たな「成長エンジン」を積極的に構築していくことが明らかになった。

 中国国務院新聞(報道)弁公室が2月28日に開いた記者会見で、中国民用航空局(民航局)の韓鈞(かん・きん)副局長は、「低空経済」は従来のゼネラルアビエーション(一般航空)事業や、ドローンなどの有人・無人航空機による低高度飛行活動、関連業界の生産やサービスを含み、工業、農業、サービスなど幅広い分野に及ぶと紹介した。

 業界内の見方では、中国の「低空経済」は成長を続けており、前途は洋々としている。中国工業・情報化部など4部門は合同で「一般航空装備品の革新・応用実施計画(2024~30年)」を提出、30年までにハイエンド化、スマート化、グリーン(環境配慮型)化を特徴とする一般航空産業発展に向けた新たなモデルを基本的に作り上げ、一般航空装備品を人々の仕事と生活のあらゆる分野に溶け込ませ、低空経済の強力な推進力となって1兆元レベルの市場規模を形成するとしている。

 中国では南部から北部まで多くの地域で、政策や市場などを有利な要因として、「低空経済」発展のチャンスを積極的に捉え、集積効果とイノベーションエコシステムの形成を加速させている。

 黒竜江省航空産業協会の霍光雷(かく・こうらい)秘書長は、同省は古くからの工業基地として航空産業の基盤が良好で、豊富な応用シナリオも備えているとした上で、「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)の代表である「低空経済」を地域の状況や適切な時期に合わせて推進できると述べた。

 深圳聯合飛機科技の田剛印(でん・ごういん)董事長は、「黒竜江省は中国の国家配置にとって重要な位置にある」と述べ、同省には大規模な農地、森林、湖沼、国境を流れる河川などがあり、「低空経済」が発展する応用シナリオが豊富なことから、より多くの産業チェーンを派生させることができ、「低空経済」の未来はより多くの可能性を秘めているとの認識を示した。

 中国国内の無人ヘリコプター業界の大手企業、深圳聯合飛機科技は現在、すでに同省の一部の政府機関や企業と幅広い協力関係を構築し、専門的なシナリオのニーズを満たす無人航空機システムの開発を行うことで、大型無人機が農業や林業などの分野での応用モデル構築に取り組んでいる。(記者/強勇、朱悦)

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