「スイッチ2(仮)」の性能はSteam Deck以下、しかし“大した問題ではない”との分析

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Nintendo Switch後継モデル、通称「スイッチ2」の噂話に任天堂は一切コメントしていないが、すでに事細かな仕様に関する自称リークが相次いでいる。今のところ2025年の第1四半期(ちょうど初代スイッチと同じ時期)発売が有力視されており、そこから逆算すれば多くのゲーム開発会社に開発キットが渡っている可能性が高い。

スイッチ2の性能は「Xbox Series S」はおろか、携帯ゲーミングPCの「Steam Deck」にも及ばないとみられているが、それは大した問題にはならないとゲーム映像の専門家が指摘している。

ゲーム映像の詳細な分析で知られるDigital Foundry(以下「DF」)は、まずスイッチ2の単純な処理能力が他の現世代機ほどではなく、PS4並であるとの噂を再確認している。そもそも搭載チップ「T239」が数年前の車載用チップTegra Orinのカスタム版(性能ダウングレード版)と見られていることから、あまり高性能は望むべくもない。

しかし、スイッチ2はその仕様に合わせた移植をされることになり、これにはNVIDIAの超解像技術DLSSも含まれるため、低解像度でゲームをレンダリングしても見栄えが良くなるとの予想だ。

ほぼ不可能と思われた『ウィッチャー3 ワイルドハント』の初代スイッチへの移植も驚きを呼ぶほどの完成度だった前例もあり、「そのゲーム機に最適化された移植」がスイッチ2でも起こりうるというわけだ。

スイッチ2のCPUやGPUは前世代並に留まるにせよ、そこにDLSSやレイトレーシングといった新世代の技術も加われば、全く異なるアーキテクチャに変貌を遂げたことになる。

これまでゲーム機の性能を測る目安としてTFLOPS(1秒間に1兆回の計算を処理できる能力)が使われ、たとえばPS5は約10.28TFLOPS、初代スイッチは0.512TFLOPと表現されてきたが、今後はその物さしを鵜呑みに出来ないということだ。

結果として似たようなゲーム映像が出力できるのであれば、電源を繋がずに遊ぶ携帯ゲーム機の場合、バッテリー駆動時間が大きなウェイトを占めるようになるだろう。DFも、スイッチ2がSteam Deckよりバッテリー持ちが優れている可能性があり、より良いユーザー体験に繋がりうるとの趣旨を述べている。

初代スイッチは他の現行世代ハードより大きく性能が劣りつつも、巨大なユーザー人口のためか、ゲームパブリッシャーとしても無視しがたい存在だった。そのためクラウドゲーム版や、細かなディティールや同時登場キャラクター数を減らすなど、あらゆる工夫を凝らしてハードルを乗り越えようとしていた。

スイッチ2もそうした苦労は部分的に残りながらも、開発者とユーザー共に満足しやすい方向に進化を遂げるのかもしれない。

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