広島が2季連続のCS出場へ前進…山崎稜は「なんとしても2勝をもぎ取りたい」と決意

◆ライバル、島根との最終決戦に向けチーム一丸で臨む

広島ドラゴンフライズはB1リーグ第34節で本拠地の広島サンプラザホールに大阪エヴェッサを迎えて対戦。4月20日の第1戦は91-77、翌21日の第2戦は83-71で連勝を飾り、2シーズン連続のチャンピオンシップ(CS)進出へ前進した。

広島は2試合とも入りから勢いが違った。CS進出を目指すなかで、前節の長崎ヴェルカ戦で痛い敗戦。今節の大阪戦は「負けた分、出だしからよりハードにやろうというチームの共通認識があった」と山崎稜が話したように、まずは激しいディフェンスで勢いを作った。

「僕らがやろうとしていたディフェンスがうまくハマったのが、いいスタートを切れた要因だった。スタートの5人は全員『やってやるぞ』という気持ちを持っているので、そこがディフェンスにうまく表れたと思う」

第1戦はスタートの勢いをそのままに相手を寄せつけずに快勝。第2戦に向けても緩めることはなかった。山崎は「ヘッドコーチから『最初がすごく大事』という話があって、チーム全員で気を引き締めてやれた。試合直前にもチーム内でまずはスタートの5人で勢いを持ってこようと話をして、5人とも気持ちが入っていた」と明かす。

その勢いを山崎が加速させた。第1戦は第1クォーターに3ポイントシュート2本、第2戦も第1クォーターで3ポイントシュート3本を決めて、2試合とも立ち上がりに連続得点。「最近はいいタッチでシュートを打てているし、調子は上がっている」と好調シューターがチームの勢いを確かな攻勢へと変えた。

ディフェンスで勢いを作ってオフェンスにつなげる。広島は「自分たちのバスケットボール」を体現して連勝をつかんだ。特に第2戦の後半では苦しい展開でも、自分たちのスタイルを貫く強さを発揮。第3クォーターで相手に反撃を許して12点差から3点差まで詰められたが、第4クォーターは好守で失点の流れを止め、逆に得点を重ねて再び突き放した。

「我慢しながら戦えば、絶対に相手の流れを抑えられる時がくるとわかっていた。僕らもプレッシャーを高めていって、いいディフェンスができたので相手を抑えられた」と山崎は振り返り、カイル・ミリングヘッドコーチは「自分たちのオフェンスのトリガーは激しいディフェンスから。本当にディフェンスが素晴らしかった」と巻き返したチームを称えた。

山崎は2試合で攻守に活躍し連勝に貢献した。第1戦では3ポイントシュートを3本決めて、守備でも自己最多のスティール4つを記録。第2戦は3ポイントシュートを4本沈め、第2クォーターには相手に倒されながらも左手でシュートを放ち、「たまたま入った感じだけど、一生懸命やった形」と気合いの得点で盛り上げた。第2戦は19得点でキャリアハイを更新したが、「後半に(得点数が)伸び悩んだので、もっと取りたかった」とさらに上を見ている。

山﨑以外の選手もチームを勢いづけるプレーが光った。ニック・メイヨも第1戦の立ち上がりに3ポイントシュートを連続で決めて流れを作った一人。第4クォーターには船生誠也の華麗なバックパスを受けて豪快なダンクを叩き込み、「サンプラザでダンクができていなかったし、チームメートともそういう話をしていた。セイヤからいいパスをもらって、目の前のレーンが空いていたので思い切って行った。ファンもチームも活気づけられた」とうれしそうに話した。

ケリー・ブラックシアー・ジュニアは第1戦で14得点5アシストを記録したが、「あまり活躍できなかった」と振り返り、「集中して試合に臨んでいた」という第2戦では第4クォーターだけで12得点を挙げる活躍。「チームメートが僕を最後まで信頼してくれたのが大きかった」とチームの一体感に感謝した。

広島は3月にチームをけん引してきた寺嶋良の負傷離脱というアクシデントに見舞われた。それでも、ブラックシアー・ジュニアが「このチームは一人ひとりがエナジーを与え合って、みんなが盛り上がっていくチーム」と話したようにチーム一丸で戦い、大阪戦の連勝でCS出場圏内のワイルドカード2位まで浮上を果たした。

ケリー・ブラックシアー・ジュニアはチームで戦っていることを強調 [写真]=B.LEAGUE

ミリングHCは「今の順位にいるのは一人ひとりの能力の賜物。リョウ(寺嶋)がケガをしたあと、『広島はもう終わった』という評価が多かったと思う。でも、選手たちは全くそんなことなく、自分たちを信じ続けて、最後まで戦い抜いて今の順位にいる」と胸を張る。

次節は1ゲーム差でワイルドカード3位の島根スサノオマジックとCS進出を懸けた直接対決。今季すでに2敗している相手とアウェイでの大一番だ。今季戦ってきたチームや自分たちのスタイルを信じてまた連勝をつかみにいく。

山崎は「本当に負けられないし、絶対に勝たないといけない。まず2勝が必須なので、また気持ちの入り方が違う2試合になる。なんとしても2勝をもぎ取りたい」と力強く意気込んだ。

取材・文=湊昂大

© 株式会社シーソーゲーム