インタビュー:円安の影響見極める局面、160円方向への変動なら政策対応も=越智衆院議員

Kentaro Sugiyama Makiko Yamazaki

[東京 24日 ロイター] - 自民党の越智隆雄・衆議院議員はロイターとのインタビューで、為替円安についてメリット・デメリット双方ある中、党内で水準の議論はそれほど盛んではないとし、今は動向を注視し経済への影響を見極める局面だとの認識を示した。一方、ドルが160円方向に急速に振れていく場合は経済政策運営担当者や通貨当局者が対応を迫られる可能性があると指摘した。

越智氏は、金融・経済財政担当の内閣府副大臣、衆議院財務金融委員長などを歴任した政策通。現在は党金融調査会幹事長や同調査会資産運用立国プロジェクトチーム(PT)座長を務める。

外為市場でドル/円は154円後半に上昇し、34年ぶりの高値水準となっている。政府・日銀が2022年秋に145円超と150円超で介入に踏み切ったことから、市場関係者の間では実弾介入の有無に関心が強まっている。

越智氏は、為替の水準について自民党内で議論は盛り上がっていないが、仮に「160円、170円となってくると、経済政策運営の担当者が追加の円安対策など何か手を打たなければならないと考えるかもしれない」と語った。

通貨政策については、当局者が考えるものとしつつ「為替介入は極めて異例な措置と理解している。単独介入だとすると、慎重に考えなければならない局面にある」と指摘。一昨年の秋は結果的に円高に向かったが、日米金利差が固定化されるのではないか、あるいは縮小ペースが緩慢になるのではないかとの見方もある中、「介入効果がどのように出るかも考えなければならない」と述べた。

<新NISA利用の海外投資、現段階では「懸念せず」>

新NISA(少額投資非課税制度)を利用した外国株投資などで海外に資金が流出しているとの指摘もあるが、越智氏は「今の段階では懸念していない」と述べた。「貯蓄」を「投資」に回す行動を定着させるにはまずは成功体験が必要であり、資産のポートフォリオ形成の面でも円建て資産を外国株に分散投資する動きが出るのは当たり前だと語った。

その上で「並行して日本の産業構造を変え、上場企業の文化を変え、東証が市場改革を行い、海外投資ではなく日本株に投資することでしっかり果実が得られることになる国を作っていかなければならない」と語った。

日銀の金融政策については、今は正常化の過渡期であり、日銀が重視する基調的インフレ率の上昇の確度の高まりを確認する局面だと述べた。

昨年4月の日銀金融政策決定会合の声明文、6月の政府の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」に「賃金の上昇を伴う形で」という文言が入ったことで、政策変更の予見性が高まったが、現在の日銀は総合判断となる基調的なインフレ率の上昇の確度を重視しており、タイミングが読めないと指摘。

「金融政策を機動的に行えるようにする意味で金利を中立的な状態に持っていくのが妥当」ではあるものの、基調的インフレ率の動向を注視していく必要があるとした。

*インタビューは23日に実施しました。

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