1ドル154円台 歴史的円安は県民生活にマイナス影響

今月15日の外国為替市場。およそ34年ぶりに1ドル154円台まで円相場が下落するなど、歴史的な円安となりました。

外国の通貨に対して日本円の価値が低くなる円安。2021年には1ドル103円水準だったものの、2022年ごろからアメリカの金利上昇など様々な影響によって、未曾有の円安が続いています。

市民
「海外旅行に行った時の為替とかは大変だと思うし、日用品もこの1~2年で上がってきていて大変」

この円安、市民生活にどのように影響があるのでしょうかー

海邦総研 瀬川孫秀 次長
「円安になると輸入するものの価格が跳ね上がって今う、円が安いので。沖縄の経済は沖縄から輸出しているものは非常に少なく、輸出は非常に多い。円安は県民生活にはマイナスに働くのが強くなると思う」

輸入品の価格に大きく影響し、物価の高騰を更に加速させる円安。外国産の牛肉を扱う飲食店も頭を悩ませます。

ステーキハウスOK 當山康司 社長
「物価高は続いていて、どんどん(仕入れ値が)上がっているが、一番懸念しているのが円安ですね。今回どう値上げに踏み切るかを悩んでいるんですけど」

数年前に比べて、仕入れ値は3倍になったという沖縄市のステーキハウスOK。

物価高の影響を受け、値上げを数回行ってきました。6月ごろの仕入れから、今回の円安の影響が出ると考える當山社長。

企業努力ではどうしようもない状況だと頭を悩ませています。

ステーキハウスOK 當山康司 社長
「光が見えない中で仕事をしている感じで本当にしんどいですね」

記者
「どうにか乗り越えないと?」

ステーキハウスOK 當山康司 社長
「そうですね、企業努力はやりつくしたので、今後どうやって維持できるかを考えるのが大きな課題になる」

県民生活にダメージを与えている円安。一方で、プラスに働く部分もあります。

円安がプラスに働くのは?

海邦総研 瀬川孫秀 次長
「観光という点で円安は非常に有効に働くと思う。(県内で)消費するときも割安感を感じるので金を使ってもらいやすくなるのかなと思う」

外国人観光客数はいまだコロナ前の水準には届かないものの、航空路線の新規就航や復活、大型クルーズ船の寄港などにより、2023年は過去5番目となる823万人あまりが来沖するなど右肩上がりとなっています。

台湾人観光客
「安いですね。薬とお菓子とか帰った後に友達に贈る土産を買いました。円安は私たちへの贈り物です」

特に台湾からの観光客が多い沖縄。台湾ドルと日本円の過去2年の為替レートを見てみると、アメリカドル同様、日本円の価値が著しく下がっていることが分かります。

より安く日本の商品を購入できるなど、円安の恩恵を受ける外国人観光客。彼らにとって日本への旅行は、「買い物天国」のような状態になっています。

台湾人観光客
「円の価格が落ちてとてもいい時期に沖縄で買い物や食事ができている。私の国よりかなりリーズナブルですよ」

こうした状況に店側は声も弾みます。

鮮魚店のスタッフ
「(台湾は)近いから航空チケットも安いし、みんな来ますよ。聞いたら『円が安いから』と。台湾の海産品は高いんですよ、特にタラバガニとか倍以上するからみんな食べに来ますよ」

生活にはデメリットである一方で、観光業にとってはメリットとなっている円安。今の状態をどう受け止めればいいのでしょうか。

海邦総研 瀬川孫秀 次長
「GDPで見ると、観光収入に比べて県民生活が圧倒的に大きい。県民が普通に生活に過ごす中での日々のダメージのほうが大きいのかなと思う」

物価高を上回る所得の増加が求められるものの、企業の対応は十分とは言えない現状。円安は私たちの生活に、しばらく影響を及ぼすことが予想されます。

© 琉球放送株式会社