東急東横線「Q SEAT」はなぜ縮小に追い込まれたか。1両に減車、2本を増発

東急東横線の有料座席指定サービス「Q SEAT」が、5月より1両に減車されます。2本を増発しますが、全体として営業規模を縮小します。

2両連結を5本運行

東急東横線の「Q SEAT」は、10両編成の急行列車で実施されている有料座席サービスです。東横線の5050系の一部列車で、ロングシートの座席をクロスシートに変更し、渋谷発元町・中華街行きで運行しています。

座席には電源コンセント、カップホルダーがあり、車内Wi-Fiサービスも無料で利用できます。

現在は平日夜間に1日5本を運転していて、それぞれ2両の「Q SEAT」を連結しています。

画像:東急プレスリリース

減車のうえ増発へ

東急では2024年5月7日から「Q SEAT」のサービスを改定し、10両編成のうち4・5号車での営業から、5号車のみでの営業とすることを発表しました。4号車もこれまで通りの車両を使いますが、ロングシートで営業し有料座席指定サービスは実施しません。

同時に、営業列車を1日5本運行から2本増発し、合計1日7本で運行します。新たに、渋谷発18時35分発と、19時05分発が追加となります。

座席指定料金は、大人・小児一律500円/席で変更はありません。インターネットと停車駅の改札窓口で購入できます。

画像:東急電鉄プレスリリース

10両から7両に減少

営業列車を拡大するものの、車両数削減により、1日あたりの営業車両数は10両から7両に減少します。提供座席数は3割減少しますので、営業規模は縮小となります。

筆者も東横線渋谷駅で様子を見かけることがありますが、「Q SEAT」は空いていることが多いようです。SNSでのクチコミからも、利用者数が伸び悩んでいる様子がうかがえます。

東急東横線は、全体としてとても混雑している路線なので、着席に対する潜在的需要は高いはずです。にもかかわらず、利用者が増えないことには意外感もあります。

伸び悩みの原因は?

伸び悩みの原因はいくつかありそうですが、まず、東横線は距離が短く横浜まで乗っても30分程度で、乗車時間とアコモデーションの割に料金が高めなことが挙げられそうです。

また、渋谷始発の列車に連結しているため、一般車両でも少し並べば座れることも理由でしょう。

チケットの買いづらさも理由かもしれません。会員制のネット販売と、駅改札窓口販売に限っていて、ホーム上の券売機では買えません。一見さんが急に乗ろうとしても乗りづらいのです。

ホームに指定席券売機を置いていないのは、東急として、サービス展開に迷いがあるからかもしれません。今後、副都心線や相鉄線にサービスを広げ、ホーム上の券売機でチケットを売れば、それなりに利用者は増えそうな気もするのですが、そこまでの見通しは立っていないのでしょうか。(鎌倉淳)

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