【J2リーグ2024】清水、長崎、岡山、早くも3強体制?上位クラブ特長まとめ

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4月20、21日に第11節までを終えた明治安田J2リーグ。全38節のうちまだ3分の1も消化していないが、早くも上位3クラブが一歩抜け出しつつある。

現時点首位の清水エスパルス(勝ち点25)、2位のV・ファーレン長崎(勝ち点24)、3位のファジアーノ岡山(勝ち点22)だ。この3クラブは、1試合平均勝ち点2以上のペースで4位以下に差をつけている。

なぜここまで好調をキープできているのか、それぞれのクラブの特長を解説しよう。


乾貴士 写真:Getty Images

清水エスパルス:安定的に首位をひた走る

J2第11節終了時点、勝ち点25で首位に立つ清水は、ここまで非常に戦績が安定している。

開幕からロアッソ熊本、愛媛FCを相手に連勝と最高のスタートを切ると、第3節の長崎戦こそ1-4で落としたものの、第4節から再び3連勝。第7節でモンテディオ山形に0-2で敗れ、第8節で徳島ヴォルティスと引き分けるも、そこから現在3連勝中だ。大崩れがないまま首位をキープしている。

清水のキープレイヤーは、トップ下に君臨するMF乾貴士と、1トップを張るFW北川航也。どちらも元日本代表としての経験も持つ実力者で、質で違いを作り出せる選手たちだ。ここまで乾が3得点2アシスト、北川が5得点3アシスト。チームの総得点19のうち、2人で13得点に絡んでいることから、どれほど彼らが攻撃の軸となっているかが分かる。

乾と北川が不在だった第7節、第8節は、山形に敗れ徳島に引き分けと、結果に明確な影響が出た。彼らがピッチにどれだけ立てるかが、このまま清水が優勝できるかのカギを握るだろう。

一方、守備ではCB(センターバック)陣が強さを発揮。DF住吉ジェラニレショーンやDF蓮川壮大、DF高橋祐治といったJ2屈指の面々が、身体を張り続けている。ただし複数失点を喫した試合が4戦あり、ここまでの11試合で13失点と、失点数は少なくないため組織としての守備は改善が求められる。

1点差の試合をモノにする勝負強さを維持しつつ、細かな修正を施したいところだ。


フアンマ・デルガド 写真:Getty Images

V・ファーレン長崎:リーグトップの得点力を誇る

昨2023シーズンは7位でプレーオフ圏内さえ逃した長崎が、今シーズンは好調をキープ。11試合で勝ち点24と、首位清水を勝ち点差1で追走している。

長崎の最大の強みは、リーグトップタイの得点数を誇る攻撃陣だ。11試合で23得点で、1試合平均の得点数は2を超える。また第3節は清水に4-1、第10節は徳島に6-1で勝利しており、大勝も目立つ。

外国籍選手が数多くの得点を挙げているのも特長だ。FWエジガル・ジュニオが7得点、スーパーサブのような形で起用されるFWフアンマ・デルガドが5得点、【4-1-2-3】のインサイドハーフで起用されるMFマテウス・ジェズスが5得点2アシストを記録している。

また、得点が注目されがちではあるが、昨季との最大の違いは守備の改善にある。昨季は42試合56失点、1試合平均約1.3失点と、上位争いに絡むには失点が多すぎた。下平隆宏新監督が率いる今季は、ここまで11試合で10失点。1試合平均1を下回るペースで推移している。

清水や横浜FCなど上位を争うライバルとの直接対決にも勝利している長崎。昨季の不安定さからは継続性に不安はあるが、今後は取りこぼしを防げるかがカギを握りそうだ。

スベンド・ブローダーセン(横浜FC所属時)写真:Getty Images

ファジアーノ岡山:リーグトップの守備力を有する

今2024シーズンのJ2で最高のスタートを切ったのは岡山だった。第1節で栃木SCに3-0の快勝を収めると、第2節の引き分けを挟んで第3節から第6節まで4連勝し、首位に立っていた。

その最大の要因は守備の固さにある。開幕から6試合でわずか2失点ととにかく失点が少なく、この間には1-0での勝利が3試合を数えた。チーム全体の守備意識が高く、そこを突破したとしても最後の壁としてGKスベンド・ブローダーセンが立ちはだかる。

また、新外国籍選手のFWグレイソンが早々にチームにフィットしたことも大きい。昨季Kリーグ2(韓国2部)で13得点を挙げリーグ得点王に輝いたストライカーであり、186cmの大柄ながらとにかく器用な選手だ。岡山が志向する【3-4-2-1】の1トップに適役で、自ら決める力もありながら味方を使う意思も強い。開幕からの6試合で2得点3アシストを記録し、2・3月度の明治安田JリーグKONAMI月間MVPを受賞したほど、グレイソンの存在なく岡山のロケットスタートはなかった。

第7節以降の5試合は1勝3分1敗で、ややブレーキがかかり3位に順位を落としているが、直近の第11節熊本戦は2-0で勝利した岡山。創造性溢れるプレーが特長のFWガブリエル・シャビエルが出場時間を伸ばしつつあることもポジティブな要素で、清水と長崎に食らいついている。再び勢いを取り戻せれば、首位に返り咲いても不思議ではない。

そんななか、次節(J2第12節)は、清水と岡山の上位対決が実現する(4月28日)。シーズン序盤戦の重要な「6ポイントゲーム」(相手の3ポイントを奪い3ポイントを獲得することで、6ポイントの心理的影響を与える直接対決)であり、勝ち点3を積み重ねるのはどちらだろうか。

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