宇都宮で決めたい!…パリ行きの切符獲得に向けて男女3x3日本代表が活動中

◆地元開催のUOQT2を目前控え急ピッチに準備

4月23日、味の素ナショナルトレーニングセンターにて「パリ2024オリンピック」の予選を控える男女3x3日本代表がメディアに向けて練習を公開した。

男女ともに「パリ2024オリンピック」の出場を懸けた予選大会は2つ。1つ目は5月3日〜5日の期間で栃木県宇都宮市にて開催の「FIBA 3×3 バスケットボール ユニバーサリティオリンピック予選2(UOQT2)」で、参加8チーム中上位1位になれば文句なしでオリンピックの出場権獲得となる。しかし、UOQT2で出場権を逃した場合は5月16日〜19日にハンガリーで行われる「FIBA 3×3 バスケットボール オリンピック予選(OQT)」出場。ここで参加16チーム中上位3チームに入ればパリ行きが決まる。

大一番を控える中、女子はWリーグに所属する選手10名と大学生1名の11名が合宿に参加。全員が3x3の試合経験があり、上は27歳から下は21歳までが集結した。公開練習時は合わせ動きの確認やシュート練習などを行なっていて、プレーオフ・ファイナルを戦い抜いた高橋未来(デンソーアイリス)をはじめ、シーズンを終えたばかりのWリーガーたちも元気な姿を見せていた。

「オリンピックに行くというミッションに対して11人で合宿をやっていますが、順調にチームが出来上がってきている状況です」と、現状を語ったのは長谷川誠ヘッドコーチ。

「ディフェンスではプレッシャーをかけること。大きい選手も小さい選手もインサイドとアウトサイドをどちらもディフェンスができるようにしたいです。オフェンスではトランジションの速いバスケットを目指しているので、2点シュートと1点シュートをうまく使い分けながら、より効率の良いオフェンスをしたいです」

女子の長谷川誠HCは「フェンスではトランジションの速いバスケットを目指す」という [写真]=田島早苗

このようにチームの目指すスタイルも語った。さらには、個人ポイントでのバランスを考えながら、としながらも(予備メンバーを含む6名中4名をFIBA個人ランキングの日本人上位10位以内から選ばなければならない)、「今言ったことをしっかり表現できる選手を最終的には6人選ぶことになると思います」と、選手選考にも言及した。

UOQT2では、オーストリア、ドイツ、ブラジルと対戦する日本。「スカウティングはしっかりと(選手に)伝えますが、相手に合わせるのではなく自分たちのスタイルをディフェンスもオフェンスも表現できるように。自分たちの強みをいかに出せるかを今は工夫しながらやっています」と、長谷川コーチは言う。

加えて、「基本的には守り勝ちたいと思っていて、点の取り合いだとあっという間に(試合時間の)10分間が終わってしまうので、どうしたら得点力のあるチームを抑えられるか。ディフェンスに力を入れていきたいです」と、意気込んだ。

「まずは初戦のオーストリア。その後のドイツ、ブラジルに勝って勢いをつけ、決勝トーナメントでも2試合を勝ち切って出場権を取りたいです」と、決戦を見据えた指揮官は、「高崎で決めたいですよね」という問いかけにも「もちろんです」と力強く発した。

◆世界の強豪チームとの戦いに手応え

一方、昨年のFIBA 3x3ワールドツアーチャンピオンのUb(セルビア)とのスクリメージを公開した男子は、実戦さながら白熱したプレーを披露した。

「今回の合宿の目的はオリンピック予選に向けてメンバーを選ぶことと、さらに戦術をブラッシュアップして戦えるチームにしていくという2つです。今日の試合の相手は昨年のワールドツアーファイナルの優勝チームなので、世界No.1チーム。確かにすごかったのですが、『戦えるぞ』という感覚もありました」と、中祖嘉人ヘッドコーチはUbとのスクリメージを終えての感想をこう語った。1年を通してワールドツアーを転戦しているトップチームを相手に「(日本のメンバーは)3x3生え抜きの選手やBリーガーが混ざっていますが、戦い方はあるのではないかと思っています」と、手応えをつかんだようだ。

男子の中祖嘉人HCはUbとのスクリメージで手応えを感じていると語った [写真]=田島早苗

3月末に行われ、7位に終わった「FIBA 3×3 アジアカップ2024」では、優勝したオーストラリアに善戦したものの、「準備期間があまり取れなかった」(中祖ヘッドコーチ)ということもチームの課題の一つに上がった。そのため、今回は合宿中から「いいマッチメイクができるように」と、Ubとのスクリメージだけでなく、UOQT2の開催地である宇都宮に入ってからもいろいろなチームとの練習ゲームを予定しているという。

「Ubが強いのは、ワールドツアーを回る中でトライ&エラーを繰り返しながら練習をしているから。私たちも限られた時間ではありますが、トライしていきたいと思っています」と、中祖ヘッドコーチは抱負を語る。さらに「身長もそうですが、自分たちのできる、スキル、シュート力、スピードなどバランスを見て、これが一番オリンピックに近いのではないかというメンバーを選びたいです」ともコメントした。

地元開催となるUOQT2。男女ともに『宇都宮で決める』という思いを持って、選手、スタッフともに来週末の大会に向けて強化を図っていく。

文・写真=田島早苗

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