『デッドプール&ウルヴァリン』新予告を詳しく解説 『X-MEN』旧作からサプライズ登場も

こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! さて今回は、先ごろ予告編が公開され、ネットでも話題を呼んだ『デッドプール&ウルヴァリン』の最新(第2弾)予告編解説です。(以下、きわめてマニアックな解説です)

映画『デッドプール&ウルヴァリン』第2弾予告
前回の『デッドプール&ウルヴァリン』の第1弾予告編と大きく違うのは、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンが大きくフィーチャーされていることです。第1弾予告編では最後に後ろ姿だけ映る感じでしたからね。

この予告編でわかってきたのは、デッドプールが何らかの理由で自分のユニバースを救うためウルヴァリンに助けを求める、ということです。ところが、このウルヴァリンはどこか落ちぶれている。酒場(カナダの国旗がチラっと見えるのでカナダの酒場ですね)のおやじに「お前は出禁だ、さっさと出ていけ」と言われたり、今回デッドプールにミッションを託すTVA(時間変異取締局)のエージェントがウルヴァリンのことを「この男は世界を救えなかった」と言います。

そして、デッドプールはウルヴァリンに対し「お前の世界にもクソって言ったのか?」という言葉をあびせています。“お前の世界”という言い方をしているところをみると、デッドプールとこのウルヴァリンは、もともと別バースの住人であることであることがわかります。ヒーローとして失敗して自分の世界を救えず、ダメダメの状態でいるウルヴァリンをデッドプールがスカウトするという流れでしょうか?

酒場のシーンでウルヴァリンの爪がほとんど出ないのは、映画『スパイダーマン2』でメンタル的にやられたピーターが蜘蛛糸を発射できなかったり、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でサノスへのトラウマから変身できなくなったブルース・バナーを思い出させます。このウルヴァリン、相当気を病んでいる状態ではないでしょうか? なお酒場というのは、ウルヴァリンが出てくる映画の中ではわりと重要な舞台です。例えば『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』では、若き日のプロフェッサーXとマグニートーが酒場にいるウルヴァリンをスカウトしようとして、彼が「失せろ」と2人を追っ払うというシーンがありました。

デッドプールはウルヴァリンに「お前は(世界の救い方を)知っている」と語りかけ、「お前は元X-MAN(※単数形です)だ」と言います。つまりこのウルヴァリンは(もちろん)X-MENのメンバーだったこともわかります。

さて、荒野(後で説明します)みたいなところでウルヴァリンとデッドプールは喧嘩になってバトルしますが、お互い不死身なので急所を爪で刺されたり(ウルヴァリンからデッドプールへの攻撃)、わき腹を銃で撃たれまくったり(デッドプールからウルヴァリンへの攻撃)とかなり痛そうです。かと思うと、ウルヴァリンの爪とデッドプールの刀がぶつかりあうカッコいい戦いのシーンがある。刀が爪と互角にうちあっているということは、デッドプールの刀もアダマンチウム製ということでしょうか? アクション・シーンで僕が「?」と思ったのはデッドプールが殺しているコマンド部隊がTVAなんです。第1弾予告編ではTVAのミッションを受け、デッドプールが活躍するみたいな展開だったと思うのですが、なぜTVAと戦っているのでしょうか。

この予告でびっくりなのは、1分52秒目あたりに登場するアントマン(いや巨大化しているのでジャイアントマン)の死体! さらに驚いたのは、ジャイアントマンの口の部分の向かって左に立っている女性。爪が長い。彼女は、映画『X-MEN2』に登場したレディ・デスストライクです! さらに向かって右にいる赤い肌の男性は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のアザセルです! なんというサプライズ登場。このさりげないシーンでマーベル・シネマティック・ユニバースと今までの映画『X-MEN』の世界がつながりました。

この荒野のような不思議な空間はどこなんでしょうか? これはMCUドラマ『ロキ』に出てきた“虚無(ヴォイド)空間”。TVAに“剪定(一種の消去作業)”された全てのものが移送される空間で、“時の終わり”の場所とされています。そしてここは、アライオスという怪物が支配しています。予告の1分51秒目あたりの怪しい雲が、このアライオスの登場を示しています。『ロキ』のドラマでは虚無空間に、アントマンの敵であったダレン・クロス/イエロージャケットのヘルメットが転がっていました。したがってアントマンの世界と虚無空間はおそらく量子世界系列でつながっており、ジャイアントマンの死体があったのもうなずけます。

気になるのは1分54秒目あたりの車。ホットロッド系ですよね。ホットロッドはアイアンマンことトニー・スタークが好きな車です。おお、ここにアイアンマンの影? またこの空間には、これまでのX-MEN映画をつくっていた(そしてディズニー傘下になった)20世紀フォックスのロゴのモニュメントも打ち捨てられています。ここまでやるか。

1分56秒目に登場する犬は、ドッグプール(Dogpool)。原作コミックでは、マルチバース上に存在するさまざまな“デッドプール”たちの1人(1匹)です。

2分10秒あたりでデッドプールとウルヴァリンが飛び込むオレンジの輪は、ドクター・ストレンジたちが使う時空移動のポータルですよね。『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストバトルで、ヒーローたちがこのポータルで次々と出現しました。果たしてこの2人はどこに移動するのでしょうか? 気になります。

本作は、コカインの白い粉を雪に見立て、“雪だるまつくろう”と『アナと雪の女王』ネタをぶっこむなどかなり危ない(笑)作品です。当然R指定です。またこの予告で使われている曲はいろいろ物議をかもした(宗教界からにらまれた)マドンナの「ライク・ア・プレイヤー(Like a Prayer)』」。こういう選曲も挑発的ですね。

嬉しいのは、ウルヴァリンがコミックの黄色いコスチュームを着ていて、途中ノースリーブの姿も見せていること。今ディズニープラスで配信しているアニメ『X-MEN '97』のウルヴァリンは、まさにこの腕だしバージョンなのです。本作は『X-MEN '97』ともつながるのでしょうか?

さて本作のメインヴィランは、2分2秒目あたりに登場するスキンヘッドの女性だと思われます。サイキック能力でウルヴァリンを苦しめる。このキャラはコミックに登場するカサンドラ・ノヴァ。プロフェッサーXの邪悪な双子の“妹”なのです! 果たして彼女はなにを企んでいるのでしょうか。

ストーリーもさることながら、やはりウルヴァリンとデッドプールの共闘アクションがわくわくさせてくれます! 『デッドプール&ウルヴァリン』は7月26日、日米同時公開です。
(文=杉山すぴ豊)

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