全国約4割の自治体が消滅の可能性 大阪では10万人都市「門真市」も対象 止まらない若者世代の減少

『744』。これは24日、明らかになった全国で消滅するおそれのある自治体の数。関西でも、あの自治体が最終的には消滅するかもしれないという。

■少子化の状況は深刻 全国の約4割にあたる744の自治体が消滅

有識者などで作られた「人口戦略会議」が24日、公表した驚くべき予測。全国の約4割にあたる744の自治体で、2050年には20歳から39歳の女性が半分以上減少。これらの自治体はその後、人口が急激に減少し、最終的には消滅する可能性があるという。

10年前の同様の分析と比べると、消滅するおそれのある自治体は少なくなっているが…
人口戦略会議 増田寛也副議長:減っているので事態が緩和したように見えるが、前回に比べて外国人の入国超過数が著しく増加しています。少子化の基調は全く変わっていないし、楽観視できない。

少子化の状況は深刻で改善されていない。このままの状況が続けば2100年には、日本の人口が6300万人に半減し、約4割が高齢者になるという。

近畿2府4県と徳島で「消滅可能性自治体」に指定されたのは97。

和歌山県では橋本市や田辺市、紀の川市など7割以上の自治体が該当している。

主な自治体として
大阪府では富田林市、河内長野市、泉南市。
兵庫県では西脇市、加西市。
京都府では宮津市、京丹後市。
奈良県では大和高田市、五條市。
滋賀県では高島市。
などが消滅するおそれがある。

■門真市も「消滅可能性自治体」に指定 若者は「自然っぽくて治安いいところに引っ越したい」

そして、大阪のあの自治体も…

記者リポート:10万人以上が暮らす門真市も、消滅可能自治体に選ばれたのです。

10万人以上が暮らす大阪府門真市。20歳から39歳の女性は2020年で約1万2000人だが、2050年には約5700人と、半分以上に減ると予測されている。

街の人は…。
門真市民(70代):若い女性はいないね。
門真市民(60代):老人の方が多い気がする。可もなく不可もなくですけど、自然少ない気がしますね。
門真市民(40代):子供減ってる。学校も1年生が1クラスになった。うちも一人っ子だけど、一人っ子が多くなってる気がする。

一方、20代の門真市民は…。
門真市民(20代):あんまり治安、良くないから。
(Q.将来門真は住みたい?)
門真市民(20代):出たいなと思う。もっといい町、吹田とか、自然っぽくて治安いい所に引っ越ししたい。

門真市は10年前の分析では「消滅可能性自治体」ではなかったが、今回新たに分類されることに。

子供の医療費を助成するなど、子育て支援の取り組みをしているものの、若者世代の人口の減少はなかなかとまらない。

「消滅可能性自治体」と指摘されたことを受け門真市長は…。
門真市 宮本一孝市長:コロナ禍で出生数が激減しました。厳しい数字であるのは理解している。賃貸住宅が多くて、人口の出入りが激しいのが特徴なので、街づくりを進める中で、街の魅力を向上させる必要がある。

また、人口戦略会議によると、大阪市や京都市などの大都市は出生率が低く、他の地域からの人口流入に依存している、「ブラックホール型」の自治体で、出生率をあげる対策が特に必要であるという。

超高齢化社会の国、日本。人口減少への対策が急がれる。

■自治体だけでなく、国も危機感を持って対策を

消滅する可能性のある自治体として、全国では、744自治体、近畿・徳島では、97自治体が指摘された。

「消滅可能性自治体」は、10年前にも調査されていたが、今回の分析で、消滅可能性自治体から、脱却した自治体もある。

大阪府寝屋川市だ。一体どのような人口減少対策をしたのか寝屋川市に聞いたところ、「いじめ対策や独自の教育を実施、子育て世代に選ばれる街になるため、スピード感をもってイノベーションを進めている」という。

出生数をどう改善していくか、国はもちろんだが、自治体の手腕にもかかっている。

番組コメンテーターでジャーナリストの鈴木哲夫さんと関西テレビ加藤さゆり報道デスクは次のように話す。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:地方自治体に突きつけられたということです。10年前にも890以上の自治体がなくなるとすでに発表しています。この時にも消滅するという言葉を使って、今回も消滅。これショッキングでしょ。人口戦略会議の増田副議長は、各自治体に危機感をもたらすために、あえて消滅という言葉を使ったそうです。それに対して本当に危機感を感じた自治体は克服をしてきています。でもほとんどの自治体がまだできない。それは自治体では無理ですよ、国がやんなきゃ。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:子供を持つ人、作る人もいなくなっている、その根本原因は、そもそも若い人が結婚しなくなっていると言われています。それは決して若い人の価値観が変わったのではなく、若い人たちが子供を産んで育てることに、希望を持てない、特に経済的不安が大きいと言われています。そこに対して国がどこまで本腰を入れてやっているかというと、耳障りのいいことばっかりは言われているんだけれども、決して自分の将来の安心材料にはなっていないから、今に至っているんです。それをこのデータで早くその危機感に気づいてほしいと思います。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:実は2000年ぐらいから言われていることなんですよ。例えば、国は何をやるべきかというと、まず役所をガラッと変えなきゃダメ。子ども家庭庁ができましたが、結婚しよう、子供を生んで育てよう、と考えると子育て政策だけじゃないんです。つまり社会の働き方を変えるとか、社会の環境を変えるとか、そうすると文科省、厚労省などに、またがっているものを全部一括りで、横串さして対策打たなきゃいけないんだけど、相変わらず役所ごとにやっている。一大改革をして取り組まないと、絶対これ防げない。だから『これだけやったら辞める』ぐらいの覚悟を持った内閣がやらないと、日本の少子化は止まらない。

自治体任せだけではなく、国が本腰を入れてやれるかどうか、抜本的な改革というのが必要だ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月24日放送)

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