就任1年“史上最年少”高島市長 対話重視で350超の現場に足運ぶ 議会で否決も「問題ない」 すごい市長だけど弱点は…

2023年、歴代最年少の市長となった兵庫県芦屋市の高島崚輔(たかしまりょうすけ)市長。当選・就任から1年、本人を直撃した。

4月24日正午ごろ
芦屋市 高島崚輔市長:こんにちは。よろしくお願いします。高島です。ようこそ芦屋へ。
関西テレビ 吉原功兼キャスター:初めまして吉原です。声の張りすごいですね。
芦屋市 高島崚輔市長:いやまあ、元気にやっていますから。明るくね。

さわやかでハツラツとしたあいさつをしてくれたのは、兵庫県芦屋市の高島崚輔市長。1997年生まれの27歳、全国最年少の市長だ。

高島市長のトレードマークは、「ほぼ直角に腰を折るおじぎ」。今回のインタビューも、丁寧なおじぎから始まった。

さらに、あまりに「エリートすぎる」経歴も注目された。

全国トップクラスの進学校、灘中学・灘高校に進学したあと、東京大学に合格。その後はアメリカに渡りハーバード大学を卒業。

■大事にしたいのは「市民との対話」「教育改革」

そんな高島市長の印象を芦屋の街で聞いてみると…

芦屋市民:積極的にやっておられるのがよく見えてね。好感が持てますね。
芦屋市民:(芦屋は)お年寄りの多い街じゃないですか。でも子供の事もしっかり考えていきたいって言ってたから、めっちゃいい人かもって思った。
芦屋市民:海外での経験が長いので、とにかく視野がグローバル。この市長の街に住みたいと初めて思いました。

芦屋市民からは好意的な意見が多く聞かれた。

関西テレビ 吉原功兼キャスター:24日で就任1年。あらためてどう感じられていますか?

芦屋市 高島崚輔市長:こういう言い方していいか分からないんですけど、すごく楽しかった。市役所の仕事はすぐ反応が返ってくるんです。やったことに対して『良かったよ』『あかんかったね』、市民の方からすぐいただけるので、そこの部分の面白さを感じます。

就任後初の記者会見で大事にしたいと語ったのは「市民との対話」と「教育改革」。

「対話」については市民と直接意見交換ができる対話集会を積極的に実施。足を運んだイベントや施設の数は“350”を超え、高齢者支援センターの増設など実際の行政にもすぐに反映している。

教育についても市内の全中学校を回り、生徒や教員らの現場の声に耳を傾けた高島市長。

芦屋市 高島崚輔市長 中学校で給食を食べながら:校則ってさ、何であるのかって話で、意外と意味あったりすることもあるかも。

■議会に否決されることがあって「(教育改革は)全く問題ない」

一方で思い通りに進まなかった部分も。
芦屋市 高島崚輔市長 芦屋市議会:次期(教育)委員には細田真由美さんを任命したいので、議会の同意を得たい。

教育委員の1人が交代することに伴い、後任に提案したのが元さいたま市教育長の細田真由美氏。教育施策の方針を決める際にアドバイスをもらったことなどが理由だった。

しかし議会では…
「賛成の方起立願います。起立少数にて本案は同意しないことに決定いたしました」

芦屋に縁がない人では市民の意思などを反映させられないなどの意見が出て否決。政策の一丁目一番地ともいえる教育改革に吹いた逆風について…

(Q人事を議会から否決された。教育改革は本当にできるのか?)
芦屋市 高島崚輔市長:問題ない。全く問題ない。私はその時にこの人が一番いいと思って提案しましたけど、それをどう判断するのかは議会の皆様のご見識に基づいての話。教育委員じゃなかったら全く関われなくて、何もできないのかといえばそうではない。色んな外部の方とは引き続きつながっているし。今回は否決になったが、だから教育改革が止まる、ということではない。

■自信と実行力に満ちあふれる高島市長にも弱点が…

エリートすぎる経歴に満ちあふれる自信と実行力。市長に弱点はないのか聞いてみると…

芦屋市 高島崚輔市長:私は芸術系全然できない。絵とか音楽とか。

(Q絵を描いてもらっていいですか?犬描いてください)
芦屋市 高島崚輔市長:犬ってどんな顔だっけ…。犬!?トナカイみたいになっちゃった。

トナカイのような輪郭に人間のような顔がついた“犬”。完璧に見えた高島市長にも苦手なことがあるようだ。

■「さらなる『対話文化』をつくる。現場に行くのは大事」

最後に今後の市政について課題を聞くと…

芦屋市 高島崚輔市長:課題は市役所の中でのさらなる『対話文化』をつくる。職員と市民の間で対話ができているかというと、そうじゃない部分もある。現場に行くのは大事だと思う。(来てもらうのでなく)行くのが大事だと思う。やっぱり『暮らしは現場で起きている』のですよ。日常は現場にあるので、できるだけそこに寄り添おうと思うと現場に行くのは大切かな。

就任から1年、市民の声をなによりも大事にしてきた高島市長。理想の街にするために乗り越えるべき課題はまだまだあるようだ。

■何を成し遂げるのか これからの高島市長に注目

関西テレビのインタビューに思いを語ってくれた高島市長。灘中学・灘高校そして東京大学をへて、ハーバード大学卒業ということで、そのキャリアの中で感じた、「どういう学びがいいのか」ということを落とし込んで、公立の小中学校でも個性を伸ばす教育をしたいというのを強く訴えていた。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:インタビューで大事な時間を使って犬の絵を描かせていましたけど。でも正面から犬を描いたでしょ。あれが象徴的だと思います。この人はやっぱり面と向かって正面から行く人だと。僕なら横から描くもん。素晴らしいと思ったのは、やっぱり現場主義。僕らジャーナリストの世界もそうだけど、やっぱり行政は絶対そうですよ。だから今の活動をずっと続けてほしい。『エリート』ってみんな言うんですけど、それとはまた違う彼の感性って絶対あると思います。だからやれていると思うので、ぜひ現場に入っていってほしい。

以前は隅っこで過ごすような子供だったそうだ。マジックのイベントに行ったとき、参加したかったけどうまく参加できなくて、お母さんから「天使の前髪をつかまないと(チャンスがきているときにつかまなければ、通り過ぎてからではつかむことができない)」というような話をされて、自分は変わらなきゃいけないと思ったと話していた。

関西テレビ 加藤報道デスク:高島さんの言葉で、『あえて空気を読まない質問をする』と言っていたのを聞いたことがあります。最初はそういうところからだったかもしれないです。議会ではなかなか難しいところもあるでしょうが、空気を読まないある種『鈍感力』じゃないですけど、そういうところを市民は期待しているところなのかも。どんどん立ち向かってほしいです。

取材で市民の皆さんが、「年配の議員の方から圧力かかってんじゃない」みたいな不安を口にされていることもあった。どう打開していけるのだろうか。高島市長がこれから何を成し遂げるのかしっかり見ていきたい。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年4月24日放送)

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