鹿児島実の背番号11 前回V校を9回1死まで無失点12K 捕手から転向し打撃投手から2番手へ【高校野球春季九州大会】

9回途中まで無失点の好投を見せた鹿児島実の先発長田

◆高校野球春季九州大会準々決勝 鹿児島実5―0熊本国府(24日・さがみどりの森)

鹿児島実の背番号11の右腕長田鉄生(3年)が先発し9回1死までを無失点、12奪三振の好投で準決勝進出を決めた。前回優勝の熊本国府を相手に散発6安打。7回、8回と1死から得点圏に走者を背負ったが、直球で攻めていずれも連続三振で切り抜けた。

「相手が秋の九州王者だったので絶対強いと思っていた。向かっていくというより楽しんで投げました」と長田は充実感を漂わせた。小気味よい投球でリズムができ、打線も15安打5得点で強力援護した。

北九州市出身。中学までは捕手ひと筋で投手の経験はなかった。同学年に力のある捕手がそろっているため、高校入学後に宮下正一監督から「捕手ではベンチ入りできない」と言われ、1年秋に自ら打撃投手を志願した。打撃練習で毎日200球から300球を投げ続けるうちに投手としての能力を身につけた。今春の鹿児島大会で初めてベンチに入りし、初戦の4校連合チーム戦で先発すると、公式戦初登板で5回を投げ13奪三振の快投を見せた。準決勝のれいめい戦では9回2死まで1失点と好投し決勝進出に導いた。宮下監督は「向こう気が強く気持ちで投げられる選手」と打撃投手から這い上がってきた長田を評する。

大会前の練習試合では自己最速となる142キロをマークし急成長を見せる長田は、最速151キロのエース井上剣也(3年)に対しても「いつかは越えてエースと取ってやろうという気持ち。負けてられないです」と強気な顔を見せる。準決勝は選抜大会を経験した明豊(大分)との対戦。投手層の厚いチームで背番号11を背負う右腕はこの大会でさらにアピールを続ける。(前田泰子)

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