イケル・ムニアイン、今シーズン限りでビルバオ退団…ワン・クラブ・マンの“王様”「幸せな気持ちで旅立つよ」

アスレティック・ビルバオは24日、主将MFイケル・ムニアインがシーズン終了後に退団することを発表した。

バスク純血主義を掲げるクラブの“王様”が、コパ・デル・レイ(国王杯)優勝という美しい思い出とともに退位することを決めた。1992年12月19日生まれのムニアインは現在31歳。12歳で『レサマ(練習施設)』に到着すると、2009年夏に16歳7カ月でトップチームデビュー。あれから15シーズン、マルケル・スサエタからの腕章継承やクラブ歴代2位となる公式戦出場数(4月24日時点で通算557試合)、2度のスーペルコパ・デ・エスパーニャ優勝…2度の前十字じん帯損傷の大ケガに、主要大会では5度の準優勝と酸いも甘いも噛み分けた旅だった。

昨夏に3度目の就任となったエルネスト・バルベルデ監督の下では、ベンチを温める機会が続いた。実際に、今シーズンは公式戦22試合・プレータイムは801分と減少。それでも、若手選手にアドバイスを送るなど一切不満を露わにすることなく、率先してチームを引っ張った。迎えた今月6日のコパ・デル・レイ決勝戦、自身6度目の主要大会のファイナルとなったムニアインは延長戦から途中出場。テクニカルなプレーでリズムやタメを作り、違いを生み出す振る舞いはまさに“王様”だ。PK戦では2番手のキッカーとして成功させ、クラブにとって40年ぶり通算24度目(前身大会を含めると25度目)の優勝に導いた。

24日、クラブ公式Xにて「イケル・ムニアインは大きな扉から去ることを決断した。赤と白の伝説は、アスレティックとともにガバラ(はしけ)に乗るという夢が叶った後、クラブを離れる」とシーズン終了後の退団が発表された。さらに、投稿された動画内にて同選手は「子供の頃、12歳のときにここに到着した。あれからほぼ20年が経った今日、僕はトップチームで15シーズンを過ごした後に退団することを発表する」と語り、以下のように続けている。

「悲願の25度目のカップタイトルを手にし、40年越しのガバラ(はしけ)に乗ったという夢を叶えて、幸せな気持ちでここから旅立つよ。僕たちが、サポーターとクラブの間に示した団結は、アスレティック・ビルバオが世界で最もユニークな存在であることを物語っている」

『ユニーク・イン・ザ・ワールド』と謳う、アスレティック・ビルバオ。その言葉が、これほど似合う選手がいただろうか。今夏に満了を迎える現行契約だが、同契約を締結した際に契約解除条項を撤廃。それは事実上、他クラブからのオファーに応じることはないと宣言したことを意味する。当時のスペインメディアも「プロサッカー史上前例のないこと」と忠誠心に驚嘆していた。アスレティック・ビルバオは後日、“唯一無二”のクラブにおいて、これまでも、そしてこれからも“唯一無二”の選手で在り続けるムニアインのお別れセレモニーを開催することを併せて伝えている。

【公式発表】クラブ退団を発表したイケル・ムニアイン

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