何歳まで働きますか?「66歳以降も仕事したい」が4割超 高齢者労働のメリットとデメリット 静岡

2024年は5年に一度の年金改正が行われる年です。現在検討されている案として国民年金の保険料の納付期間の延長があります。現在の20歳から60歳までを5年間延長して65歳まで納付(支払い)続けることとなりそうです。

一体いくつまで働き続ければ良いのでしょうか、高齢者の働き方について考えてみました。

「66歳以降も仕事をしたい」が4割超

内閣府が2023年11~12月に調査して18歳以上2833人から回答を得た「生活設計と年金に関する世論調査」によると、「何歳まで仕事をしたい?」という質問に対して4割超の人が「66歳以降も仕事をしたい」という結果になったそうです。

その世代の人は実際にどう考えているのでしょうか?高齢者の声を聞いてきました。

静岡県古希軟式野球チーム「JAPAN FUJI」。70歳を超える人たち中心の野球チームです。メンバーは22人で毎週練習を行っています。

働く理由「後継者がいない」「健康なので」

仕事をしている70歳:
後継者がいなかった。仕事を引き継ぐ人がいなかったのでここまで来てしまった。やりがいですね、やりがいがあった

仕事をしている69歳:
健康なので、家でぶらぶらしているよりは職をもって少しでも仲間を助けられれば良い。若い人たちとちょっと考え方がずれる場合もあるが、(今まで経験してきたことで)役に立つことは教えてあげた方がいいんじゃないかと思って、毎日若い連中と話をしている

仕事をしている69歳:
体が動く限り、家でボケっとしていても仕方ないので、働いていた方がいいんじゃないかという気持ちがある。

引退で「規則正しい生活」「好きなことを」

定年後も働いている人がいる一方で、引退した人も。

仕事をしていない76歳(62歳で退職):
仕事をやっているときは、夜帰ってくるのが遅かった。午後10時・午後11時ということが結構あったし、休日も出たりして。定年になって辞めてから規則正しい生活ができるようになった

仕事をしていない72歳(65歳で退職):
家のローンも60歳で終わったので、あとは余生ではないが、少し自分の好きなことをやりたいということで。家にいると粗大ごみではないが、「邪魔くさい」などと聞くが、うちは私も洗濯を干したり洗い物をしたり、女房の手伝いをしている。自分では嫌がられてはいないと思っている。本心はわからないが

仕事を続けている人も、やめた人も、それぞれの生きがいを見つけて自分たちの生活を楽しんでいる様子でした。

野球チーム「JAPAN FUJI」の皆さん:
いくぞ!おー!!

高齢者労働のメリットとデメリット

総務省の「高齢者の就業率推移」を見てみます。

2022年までのデータですが、年齢別で「65~69歳=50.8%」「70~74歳=33.5%」となっており、いずれも過去最高となっています。

弁護士・菊地幸夫さん:
今の60代は若いので当然の結果のように感じますね

続いて高齢者労働のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリットとしては
・労働力不足の緩和
・経験や人脈の活用(スキルやノウハウを活かせる)
・職場の活性化(年をとっても働けるということを若手に示せる)
・企業のブランド力向上にもつながる など

一方、デメリットは
・体力低下や体調面の不安⇒短時間勤務、テレワークなど柔軟な働き方が求められる
・デジタル化への対応が不安
・費用対効果の悪化(若手より給与が高いのに活躍の機会が少ない⇒若手から不満)

などが挙げられます。

スポーツ心理学者・田中ウルヴェ京さん:
「働く」というのも「生計を維持する」「お金を稼ぐ」ための“労働”と、「自分の学び」や「人の役に立つ」といった“キャリア”に分けられる感じがします。人生100年時代ですから60代、70代はハツラツと元気でいたいですね

弁護士・菊地幸夫さん:
弁護士には定年はありませんが、使い物にならなくなったら辞めるしかありません。
弁護士の仕事は年をとっても若い時と同じ作業をしなければならないので大変です。
もちろん、事件の見立てとか経験が活かされることもありますが。年金に不安がある場合、働けるうちは働くのが良いと思います

労働力確保の観点から単に高年齢者の雇用を進めるのではなく、組織全体としてどうすればより高いパフォーマンスを発揮できるかを考えたうえで、仕組みづくりをしていくことが求められている気がします。

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