熱中症特別警戒アラートとは・どう生かすか…気象予報士が解説「富山県内で“過去に例がない”危険な暑さ」

「熱中症特別警戒アラート」の運用が、24日始まりました。
命を守る行動が必要な危険な暑さが想定されていますが、実は富山県は現状でも熱中症による死亡率が高い地域です。
熱中症特別警戒アラートの運用開始をどう受け止め、熱中症予防に生かしていけばよいのか気象予報士が解説します。

まず、新たに運用が始まった特別警戒アラートの意味合い、位置づけです。

アラートの位置づけはこれまでの警戒アラートが「気づきを促す」のに対して、特別警戒アラートは「命を守る」行動をとる必要があるという暑さに対する最上級の警報レベルです。

その危険な暑さというのはどんな暑さになるというのでしょう。

アラートの発表基準となる暑さは、「暑さ指数」と言って熱中症の要因となる3つの要素、気温・湿度・輻射熱で計算する熱中症予防を目的に開発された世界共通の指標で表わされます。

警戒アラートは、暑さ指数が県内9つの観測地点のうち1か所以上で33が予測される場合。
これに対し、特別警戒アラートが出るのは観測地点すべての暑さ指数が35となる場合です。

観測史上、最も暑かった去年ですら、県内で1カ所も暑さ指数が35になったことがないことを考えると、特別警戒アラートではまさに過去に例がない危険な暑さになることが想定されているということです。

このアラートが出たら、私たちは外には出ず、冷房の効いた部屋にいないと命に危険が及ぶということを覚えておかなければなりません。

加えて、もう一つ、意識しておかなければならないのが、今回、特別警戒アラートが設定されましたが、これまでの警戒アラートの位置づけが低くなったということではないということです。
警戒アラートが出ても「まだ特別警戒アラートが出ていないから大丈夫」ではないのです。

特に富山県は熱中症で亡くなる方の割合が全国的に見ても多い県です。
県内の熱中症による死者は人口10万人当たり1.53人で全国ワースト4位。
過去にはワースト1位だった時もありました。

富山県は山に囲まれた地形なので、湿った南西風が吹き込んでくるとフェーン現象が起こり、気温が急に上がります。
急な暑さに体が順応できず、熱中症になってしまうリスクが高いと言えます。

そして、死者の8割以上が汗をかいて体温を下げる身体機能が衰えた高齢者です。
ただ、この熱中症はお年寄りにとっても暑さへの対応次第でリスクを下げることができると言われています。
富山大学医学部の土井智章教授に聞きました。

*富山大学医学部救急医学講座 土井智章教授
「基本的には予防が大事。暑い日は気をつけて、暑い所には極力行かない。激しい運動を控えることが重要。もし仕事などで行かないといけないときは、環境をチェックしてしっかり水や塩分を摂る予防が必要。(高齢者は)病気がもともとあって、かかりつけ医から、あまり水分や塩分を摂らないようにと指導されている人もいるので、かかりつけ医と暑い時期は水や塩分の摂り方をしっかり相談してほしい」

あとは、クーラーをかけて体が冷えると良くないなど昔からの生活習慣や暑さに対する意識が変わらないお年寄りが、熱中症で救急搬送されるケースが後を絶たないということでした。

やはり、一番の熱中症予防は暑さを避けることに尽きるということです。
24日から運用が始まった特別警戒アラートが想定する過去に例がないような危険な暑さになるかどうかは別として、暑さ、そして熱中症に対する私たちの警戒意識をこれまでより一段上、最上級のレベルに引き上げないといけないということだと思います。

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