演技派・三浦透子が挑む新作舞台「演じながら勇気をもらえる」

今もっとも注目される演出家のひとりである藤田俊太郎が手がけるミュージカル『VIOLET』。2020年に、コロナ禍のために3日しか上演されなかった日本キャスト版が、4年のときを経て再演される。タイトルロールのヴァイオレットを演じる女優の三浦透子(屋比久知奈とWキャスト)が、大阪市内で会見をおこなった。

舞台『VIOLET』に出演する三浦透子(4月・大阪市内)

◆「演技を組み立てるのが、難しいけど楽しい」

世界各国で話題となった映画『ドライブ・マイ・カー』、NHKの時代劇ドラマ『大奥』などで存在感を発揮する一方、数々の演劇賞を受賞するなど、舞台俳優としても高く評価されている三浦。『VIOLET』は60年代のアメリカを舞台に、顔に大きな傷を持つ少女・ヴァイオレットが、どんな傷も治すという伝道師に会うために旅をするなかで、さまざまな背景を持つ人々に出会う・・・という物語だ。

ヴァイオレットについて三浦は、「暗さと、内側に持っている熱さの両面があって。その2つを見せられるように演技を組み立てるのが、難しいけど楽しいです」と演じがいを語り、さらに「コンプレックスから心の傷を積み重ねていくということに、自分も共感できるし、きっとみなさんにも多かれ少なかれあるのでは。その悲しみをバネに、ものすごく強い意志を持って旅に出る姿には、演じながら勇気をもらえるところがあります」と、その魅力を分析した。

◆「つい暗さの方を表現したくなるのですが…」

使われる楽曲は、カントリーやブルースなどの、アメリカのルーツを感じさせるものが中心。「しゃべっているだけのように聴こえるけれど、実は大変緻密に楽譜が書かれていて、歌ってみると難しいです」と苦労を明かしつつも、その音楽がヴァイオレットのパーソナリティをつかむのに、大きな手がかりになったと言う。

「ヴァイオレットを演じる際に、つい暗さの方を表現したくなるのですが、それだけでは『これは歌えない』という曲が出てくるんです。この曲を歌えるような展開に持って行くには、どう演じなければないのか? という考え方をしていくのが新鮮でした」と、ミュージカルならではの役作りのおもしろさを語ったうえで、「とてもエネルギーにあふれた作品で、自分も本当にエネルギーを使わないと演じ切れない。そのエネルギーを浴びに来ていただけたらうれしいです」と期待を込めた。

三浦・屋比久のほかには、東啓介、立石俊樹、樹里咲穂、原田優一、spiなどが出演。4月の東京公演を経て、大阪公演は4月27~29日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)にて。チケットは1万3500円で、現在発売中。大阪のあとは、福岡と宮城でも公演あり。

取材・文・写真/吉永美和子

舞台『VIOLET』

期間:2024年4月27日(土)〜29日(祝・月)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:13500円

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