ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の出方焦点に

Shinji Kitamura

[東京 24日 ロイター] - 日本時間24日午後9時過ぎ、外為市場でドルが155円台へ一時上昇し、1990年6月以来34年ぶりの高値を更新した。上昇は瞬間的ですぐに154円台へ反落したが、重要な節目と位置付けられていた155円台を上抜けたことで、市場では円買い介入への警戒感が一層高まることになりそうだ。

ドルは今週に入り、154円半ばを割り込むこともほとんどなく、歴史的な高値圏に張り付く状況が続いていた。米国景気が想定以上に堅調で、早ければ3月と見られていた利下げ予想が大きく後ずれしていく一方、3月にマイナス金利の解除に踏み切った日銀の追加引き締め期待は乏しいままで「大きく広がった日米金利差が縮小へ転じる見通しがほとんど持てない」(外銀アナリスト)状況が、ドル高/円安地合いを長期化させている。

鈴木俊一財務相を筆頭に日本政府当局者は、連日様々な表現を用いて円安のけん制を続けており、17日に米国で初めて開催された日米韓財務相会談では、共同声明に「外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」と盛り込んだ。

財務相は帰国後、声明は「大きな成果」だったとして、介入を暗示するとされる「適切な対応」につながる環境も整ったと言明した。

こうした発言を受けて、市場では介入の具体的な戦術に関する予想も出回っている。「サプライズが必要となるため、単発の大規模介入を時間をおいて繰り返すのではなく、より小規模かつ頻繁な介入でドル円を押し下げる手法も考えられる」(バンク・オブ・アメリカ主席日本為替金利ストラテジストの山田修輔氏)という。

一方、想定以上のインフレに苦慮する米国が、人為的なドルの押し下げ介入を容認する公算は高くないとの見方も市場関係者の間では根強い。26日にかけて行われる日銀金融政策決定会合で、植田和男総裁がどのような手綱さばきを見せるのか、市場は注目している。

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