「サガ エメラルド ビヨンド」レビュー プレイすればするほど発見が! 選択次第でストーリーが分岐していく5つの物語

by 藍田奈結

【サガ エメラルド ビヨンド】

4月25日 発売予定

価格:

通常版 7,480円

コレクターズエディション 25,000円

CEROレーティング:B(12才以上対象)

プレイ人数:1人

スクウェア・エニックスは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC/iOS/Android用RPG「サガ エメラルド ビヨンド」を4月25日に発売する。

「サガ エメラルド ビヨンド」は、6人5組の主人公たちそれぞれのストーリーを楽しむことができる「サガ」シリーズの最新作。それぞれの主人公たちが異世界に飛び立ち、時にすれ違い、時に出会って物語が進んでいく。本作では主人公ごとに特色のある物語と選択肢を選ぶことでストーリーの分岐が発生していくのでプレーヤーそれぞれに体験する物語が異なるのが魅力だ。

本作では伊藤賢治氏が音楽を担当。異世界の雰囲気をより深く感じられるサウンドや、バトルでテンションが上がっていく音楽により、本作をより盛り上げている。

今回は本作を発売前に体験することができたので、魅力を紹介したい。

プレーヤーが選ぶ選択肢で物語が分岐していく

本作では、提示される様々な選択肢の中からプレーヤー自身が好きなものを選んで物語を進めて行く。選択肢は2つだけの時もあれば、それ以上提示されることも。その中から自身が最善だと思うものを選ぶ。

選択肢の中には物語を進める選択もあれば、物語とは直接関係しないサブイベントやバトルをしてアイテムを収集する選択の3種類がある。物語を進めてしまうとそこまでに選ばなかった選択肢は選べなくなってしまう。プレーヤー自身が物語の進行を決めることができるので、主人公が変わっても自分自身で物語を進めている感覚がとてもある。

今回体験した中で1番印象に残ったのは主⼈公の1⼈「御堂 綱紀(みどうつなのり)」が訪れたグレロンという世界だ。ここではこの世界の⼈たちがある呪いによって凍り付いて夢を⾒ている状態になる。その⼈たちを助けながら物語が進んでいく。その中でどの⼈を助けていくかの選択によって最後に戦うボスの姿まで変わっていた。この世界で体験した最初の物語と2つ⽬の物語は全く違う印象を受けるもので、正直2つ⽬の物語を体験したときに⼾惑いすらした。同じ世界で全く違う物語を体験できるので、何度も周回して他にどんな結末があるのか確かめてみたいと感じた。

物語はプレーヤーの選択で変わっていく

また、キャラクター同士の会話の中にも選択肢が出てくることがある。この場合、会話が終了していなければ、巻き戻して選択肢を選び直すことができる。会話が進んで「思っていた展開と違うかも」と感じたらやり直せるので、悩みすぎなくていいのも嬉しい。

物語を進めていくと、戦う相⼿を選ぶことができる。選択肢に上がる敵はそれぞれ強さも異なっており、強い敵を倒せればアイテムをゲットできたり、強い能⼒を⼿に⼊れることができる。しかし、キャラクターたちの強さが⾜りず戦っても全く⻭が⽴たないこともある。仕⽅なく今倒せる敵を相⼿にして、前に進むという選択をしなくてはいけなくて悔しい思いをすることもあった。

今は倒せない強い敵が選択肢に出てくることもある

しかし、本作は周回プレイをすることが推奨されており、何度もプレイして主人公たちを強くしていくことで物語を進められるようになっている。周回プレイ時には、今までは選ぶことができなかった選択肢や、今まで選ばなかった選択をすることで、同じ主人公でもまた違った物語を楽しめる。同じ主人公でも物語の展開が異なるので、周回プレイといえど新鮮な気持ちで楽しめる。

個性豊かな主人公たちと巡る物語

本作では“翠の波動”に導かれた6人5組の個性豊かな主人公たちが本作の物語を彩る。

本作の主人公たちはそれぞれに全く別の場所で生まれ生活していたキャラクターたちだ。その主人公たちは運命に導かれるように謎の翠の波動に誘われて暮らしていた世界とは違う異世界を探検することになる。それぞれ家業の事情や裏切り、事故など様々な事情から今の生活とは違う世界を体験することで成長していく。それぞれ異世界を訪れた理由も目的も全く違う主人公たち1組1組の物語をじっくり楽しむとともに、この5組の物語を全てクリアしたときにどのように巡り合っていくのか非常に興味がそそられる。

そんな主人公たちを簡単にではあるが紹介したい。

1組目は御堂 綱紀(みどうつなのり)というミヤコ市に住む大学生の青年だ。家業によって異世界を渡り4つの精霊の力を集めるため4人のクグツとともに異世界へと飛び立つ。見た目からクールな印象を受けるが、関西弁を話し、面倒見のよさが特徴的なキャラクターだ。クグツが同行しているとはいえ単身で自ら異世界へと乗り込んでいくかなりタフな人物だ。訪れた場所でさまざまな種族の人たちと時に出会い協力を仰ぎ、時に力を貸して異世界の異変を解決しながら精霊の力を集めていく。

御堂 綱紀(みどうつなのり)

2組目は、ボーニー ブレアとフォルミナ フランクリン。キャピトルシティという都市で警察官をしている2人の女性警官だ。お互いバディを組んでいたわけではなく、街で起きた事件の犯人を追っているところで偶然出会い、そして犯人を追ううちに異世界へと迷い込んでしまう。性格は少し強気なボーニーと慎重なフォルミナで、正反対に見えるのだが互いに支え合い、異世界とは縁がなかった2人が力を合わせて前に進んでいく。異世界へと導かれた主人公たちの中で異世界というものに縁もゆかりもない普通の人たちのため、どうして彼女たちが導かれたのか物語序盤では全く見えないのが、ワクワクドキドキするとともに目的が見えないので最善の選択が分からないというドキドキ感もある。

ボーニー ブレア(左)とフォルミナ フランクリン(右)

3組目はディーヴァ ナンバー5という女性だ。人間の女性の姿をしたメカで、歌が得意。歌姫と呼ばれており、アヴァロンという場所で歌を歌う番組を持っていたが、ある歌を歌ったことから番組を追放され、歌を歌う機能も奪われてしまう。歌を失った彼女は失意のまま人間の姿の体も捨ててしまうのだが、一緒に働いていた男性に誘われるままに異世界探検のチームに入り、自身の心を探す旅に出ることになる。メカではあるが、とても人間の心を理解している彼女が自身が歌を歌えないということによる失意が痛いほどに伝わるキャラクターだ。誘われるままに異世界探索をして「心」を探すというすこし曖昧な探し物を見つけるために、一緒に異世界探索に出た仲間と異世界を旅していく。

4組目は吸血鬼で闇の王であるシウグナスだ。誰かに嵌められて死者の世界「ブライトホーム」へと送り込まれるが、機転を利かせてそこで得た仲間たちとともに脱出し、仲間たちの記憶を辿る旅に出る。機転は効くが気が利かないというか利かせないタイプ。孤高の王ではあるが、どこか憎めないキャラクターで、ブライトホームで出会った仲間たちのために異世界を巡っていく。本人の目的はよくわからないが自身の場所に帰るよりも仲間たちのために動く姿は少し不思議な感覚を覚える。自身のことに興味がないのかそれとも他に目的があるのかとても興味が湧く物語となっている。

5組目は魔法使い見習いのアメイヤ アシュリン。魔法使いの最終試験のため故郷のプールクーラから相棒のクロネコ「ロロ」とともにミヤコ市に来ている。小学6年生の女の子に姿を変えて過ごしていたが、最終試験前に謎の男に襲われ魔力を奪われてしまう。ミヤコ市を散策しながら魔力を集めていく。目的としては非常に分かりやすく、魔法使いの最終試験のために魔力を集め直すというものだが、そこに小学生としての怪談話や学校での生活などが入ってくるため、1番生活が分かりやすい物語だと感じた。

アメイヤ アシュリン

プレーヤーはこの6組のキャラクターたちとともに17個の世界を巡って旅を続けていくことになる。主人公たちは物語の中ですれ違ったり、直接出会ったりしながら、物語が進んでいく。

物語上では各主人公たちは同じ目的を持っているわけでもなく、むしろ今そのキャラクターたちが生きていた世界で自分たちの目標や思惑に沿って生きている印象だ。キャラクターによっては物語序盤では目的が見えず一体どういった方向に進んでいくんだろうかとドキドキする物語もある。主人公たちそれぞれの異世界探索であり、どういった経緯で翠の波動に導かれたのかなど、全員の物語をクリアしたときに見える景色も非常に楽しみなストーリーだと感じた。

本作ではどのキャラクターからでもプレイできるが、1人の物語をクリアすると次のキャラクターにHPや能力値などの値を引き継ぐことができる。強くなった能力をそのまま引き継いで新しい物語に挑戦できるので、物語の中で選べる選択肢も増えている状態だ。主人公の数だけ物語も楽しめるし、プレイすればするほどプレーヤーにとって新しい発見があるのが非常におもしろい。

「サガ」シリーズならではのバトルシステムで爽快なバトル体験

バトルが始まるとターンごとにタイムラインの左側にいるキャラクターから物理攻撃をする「技」か魔法攻撃などの「術」から選ぶ。

「タイムライン」とは、バトルでの攻撃順を示すもので、左側にいるキャラクターから順番に攻撃を仕掛けていく。敵も同じタイムライン上におり、どんな順番で攻撃を仕掛けてくるかもわかるほか、選ぶ攻撃によって攻撃の順番が入れ替わったりする。

画面下部に表示されているのがタイムライン。左のキャラクターから攻撃が始まる

「技」や「術」には消費するバトルポイント(BP)がそれぞれ設けられており、ターンごとにパーティ全体に付与されたバトルポイントを消費して選ぶことができる。BPは最初に選択されている「陣形」では最初のターンに4つ、それ以降は1つずつ増えて付与される。最初はパーティで4つなので、1キャラクターがBPが1つ必要な技や術を選んでも、最後の1キャラクターは何もできない。攻撃を選ぶことができなかったキャラクターは自動的に防御となる。

技や術によってはBPを複数消費するものもあるため、BPが足りず戦えないキャラクターも出てくることもあるが、数が決まっているBPをどのキャラクターのどういった攻撃に使うかを考えながらバトルを組み立てていくのが楽しい。

BPはターンごとにパーティに付与される

また、タイムライン上で味⽅が連続していた場合、仲間の攻撃を繋げる連携を使うことができる。連携するためには、タイムライン上で仲間の間に敵が⼊っていないことと、それぞれの技が持つ連携範囲を繋げる必要がある。どんな技がどれくらいの連携範囲を持っているかを確認しながらタイムラインを繋げて、5⼈そろって連携を出せるとかなり気持ちがいい。

しかし、敵も同様に連携を使うことができるため、敵の連携を切るか、⾃⾝の攻撃を繋げるかなどの決断をして、場⾯にあわせて⾏動を取るのが⼤事だ。

また、連携をして連携率が⼀定の数字以上になると、選ばれたキャラクターたちで再度連携攻撃を⾏う「オーバードライブ」や、逆にタイムラインの中でどのキャラクターたちとも離れていて、敵からも離れていると1⼈のキャラクターで複数の攻撃を仕掛ける「独壇場」が発動することもある。発動できると⼀気に複数回攻撃できるため、かなりバトルが有利に運ぶ。

オーバードライブ
独壇場

本作では登場するキャラクターの種族によってそれぞれ独⾃の攻撃を⾏うことがある。吸⾎⻤が仲間の⾎と⾃⾝のLP(ライフポイント)を削って強い攻撃を仕掛ける「ブラッド技」といったプレーヤーが選択して使える種族限定の攻撃の他に、キャラクターたちがバトル中に独⾃に使う技もいくつかある。クグツという種族が使う他のキャラクターが使った技を真似る「写し身」や⼈間や吸⾎⻤がバトル中にとっさに思いついて編み出した技を使う「ひらめき」がある。⼈間は「我流技」をひらめくこともある。ひらめく技は⽚⼿剣の技「斬り払い」からだと「なぎ払い」といった形で通常使⽤している技からの派⽣のものになる。

バトルの最中に新しい技を思いつく「ひらめき」
ひらめいた技は「我流技」としてこの後のバトルでも使うことができる

バトルに勝利すると、アイテムを手に入れるほかにキャラクターたちが成長することもある。本作ではキャラクターにレベルという概念はないが、個々の能力値が上がっていくことで成長していくので、バトル終了ごとにどのキャラクターが成長するのかワクワクする。

様々な種族の成長を楽しむことができる

本作の中には人間だけでなく、様々な種族が登場する。それぞれの種族ごとに成長過程が異なるため、様々な成長過程や攻撃の種類などを楽しむことができる。今回登場する6つの種類は「人間」、「クグツ」、「モンスター」、「メカ」、「吸血鬼」、「短命種」となっている。

「人間」はほぼ全ての武器が使えるほか、「ひらめき」でバトル中にひらめいた技を使うことができる。「クグツ」はバトル中にほかのキャラクターが使った技を真似て使うことができたり、「モンスター」は生まれ持った装備や武器のみで戦うが、バトル中に倒したモンスターを吸収することでそのモンスターの技を使うことができる。

「メカ」は戦闘中に成長することがないが、装備したものによってステータスや使える技が異なる。プレーヤーが装備品を持っていれば即戦力になり、「吸血鬼」は人間同様にバトル中にひらめいた技が使えるほか、LPを消費して仲間の血を吸って使う「ブラッド技」を使うことができる。「短命種」はバトルでステータスが成長する代わりに、LPが減っていく。LPが尽きると次の世代に能力を引き継ぐため、種族としてどんどん成長していく。といった形でそれぞれ個性のある成長を見ることができる。

特に人間やメカはほぼすべての武器を使うことができるのでプレーヤーが好みの武器を使って、プレーヤーオリジナルの戦闘スタイルを作ることもできるのが楽しい。

クグツ
モンスター
短命種

本作はプレーヤーの選択によってストーリーが分岐していくので、プレーヤー自身が物語を進めて行く感覚を得やすい。また何度も周回することで今までと少し考え方が変わったり、見え方が変わったことで選択肢を変えたり、成長したことで選べる選択肢が増えたりとどんどん物語に変化が見られるのもおもしろい。

現在コンソールとPCではそれぞれ体験版が配信されており、Nintendo Switch、プレイステーション5/プレイステーション4、PCでそれぞれ違う主人公をプレイできるようになっている。もし気になる方は1度体験版からでもプレイしてみてほしい。

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