【配偶者控除】年末調整や確定申告に影響する配偶者の区分を知っておこう!

3つの配偶者の区分の共通要件

3つの配偶者の区分に該当するために共通する要件は、以下の2つとなります。

(1)納税者本人と生計を一にする配偶者であること

「生計を一にする」とは、日常の生活の資を共にすることと定義されます。つまり、生活費を一つの財布でまかなっていることを意味し、たとえ夫婦が別居していたり、それぞれに収入があったりしても、生活費をお互いが工面しているときは、「生計を一にする配偶者」に該当します。

(2)配偶者が「事業専従者」ではないこと

配偶者が納税者本人の事業に従事している場合、給与が支給されることがあります。その場合に、納税者本人が青色申告者であればその給与を「青色事業専従者給与」として取り扱い、白色申告者の場合は「事業専従者控除」を行って、給与の一定額を必要経費として取り扱う特例があります。配偶者が事業専従者である場合には、配偶者の区分の共通要件には該当しません。

これら共通要件に加え、配偶者と納税者本人の合計所得金額などによって、配偶者の区分は以下の3つに分類されます。

同一生計配偶者とは

1つ目の「同一生計配偶者」は、配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に該当します。この場合、納税者本人の合計所得金額に条件はありません。

配偶者が同一生計配偶者に該当するとき、その配偶者が障害者である場合には、障害者控除の対象となります。障害者控除は、27万円(特別障害者の場合には40万円)の所得控除となります。

控除対象配偶者とは

2つ目の「控除対象配偶者」は、配偶者の合計所得金額が48万円以下で、かつ納税者本人の合計所得金額が1000万円以下の場合に該当します。つまり、同一生計配偶者のうち、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下の配偶者が該当することになります。

配偶者が控除対象配偶者に該当するとき、納税者本人が「配偶者控除」を適用することができます。配偶者控除の額は、納税者本人の合計所得金額によって異なります。具体的には、900万円以下で38万円、900万円超950万円以下で26万円、950万円超1000万円以下で13万円(70歳以上の「老人控除対象配偶者」の場合には、それぞれ48万円、32万円、16万円)となります。

源泉控除対象配偶者とは

3つ目の「源泉控除対象配偶者」は、配偶者の合計所得金額が95万円以下で、かつ納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合に該当します。配偶者が源泉控除対象配偶者に該当するとき、納税者本人が「配偶者特別控除」として、満額の38万円の控除を適用することができます。

配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下であっても所得控除を受けられる制度です。控除額は、配偶者と納税者本人の合計所得金額によって、1万円から38万円となります。

また、納税者本人の給与等において源泉所得税を計算する際に、その配偶者を「扶養親族等の数」にカウントして算出することができます。

まとめ

配偶者の区分には男女間の差はないものの、夫婦それぞれの合計所得金額は、配偶者控除など所得控除の適用可否に影響します。また、もちろんですが、配偶者控除などの所得控除は、夫婦の一方でしか適用できません。さらに、民法上の配偶者のみが対象とされ、内縁関係などでは適用されません。

執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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