投資詐欺で7億円被害 茨城県南地域の女性、全国過去最多額 「なりすまし広告」契機

茨城県警察本部=水戸市笠原町

茨城県警は24日、県南地域に住む会社役員の女性(70)が投資詐欺で約7億円をだまし取られたと発表した。経済アナリストの森永卓郎さんらをかたる通信アプリLINE(ライン)のアカウントで勧誘された。警察庁によると、交流サイト(SNS)上で著名人に成り済ます投資詐欺の被害額では全国で過去最多。

県警によると、女性は昨年10月、インスタグラムで見つけた投資を勧める広告にアクセス。その後、女性のラインに森永さんを名乗るアカウントを追加する画面が表示された。

プロフィル写真から本物の森永さんと信じた女性がやりとりを始めたところ、間もなくアシスタントの女を紹介され、金の積み立て投資用に使うアプリのダウンロードを勧められた。

女性は同11月に取引を開始。今年4月5日までの間、投資や引き落とし手数料の名目で、指定された個人や法人の口座に41回にわたって振り込んだり、自宅最寄り駅近くに現れた男に3回に分けて約1億円を渡したりして、計6億9000万円をだまし取られた。

利益を引き出そうとすると何度も手数料を求められたため、女性は手数料を捻出しようと、インスタグラムで見つけた実業家の堀江貴文さんをかたる投資広告もクリック。3月上旬から4月上旬までの間に、4回にわたり計1000万円を指定口座に振り込んだ。

女性が度重なる手数料の催促について女をラインで問いただすと、やりとりしていたトーク画面が突然消えたという。

女性は4月23日、牛久署に被害届を提出。だまし取られたのは全て貯蓄で、「顔写真が本物だったので信じ切ってしまった」と話しているという。

SNSで著名人をかたる不正な「なりすまし広告」がきっかけの投資詐欺被害は全国的に相次いでいる。広告をクリックすると、犯人側がラインのチャットグループに誘導。投資を勧誘して金をだまし取る手口で、警察庁によると、全国では昨年1年間で2271件発生し、被害総額は約278億円。

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