インディカー開幕戦で違反が発覚。勝者ニューガーデン含むペンスキー勢が失格、オワードが繰り上がりウイナーに

 4月24日、NTTインディカー・シリーズは、3月9日から10日にかけてアメリカ・フロリダ州のセント・ピーターズバーグ市街地にて開催した第1戦『ファイアストン・グランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグ』の決勝レースにて、チーム・ペンスキーから出走した3台のマシンに違反が発覚し、2台の失格と、1台に10点の獲得ポイント減算を決定したと発表した。

 今回失格となったのは、チーム・ペンスキーから出走し、開幕戦で優勝を飾っていたジョセフ・ニューガーデンと3位となっていたスコット・マクラフランの2台だ。この裁定により、順位が変更となり、2位フィニッシュとなっていたパト・オワード(アロウ・マクラーレン)が繰り上がりで優勝となった。

2024年NTTインディカー・シリーズ第1戦セント・ピーターズバーグ 表彰式

 さらに、同チームから出走し4位となっていたウィル・パワーに対しては10点の獲得ポイントが減算されている。

 今回明らかにされた情報によると、第2戦ロングビーチが行われた21日、インディカー・シリーズ団体はウォームアップ走行が行われる直前に、チーム・ペンスキーがルール違反を犯した可能性があることを発見した。

 その可能性をもとに、インディカーは第1戦セント・ピーターズバーグのデータを徹底的に解析。その結果、チーム・ペンスキーがオーバーテイク・システムを操作し、レーススタートおよびリスタート時にプッシュ・トゥ・パスを使用できるようにしていたことが明らかになった。

 インディカーのルールブックによれば、レーススタートおよびリスタート時には、代替スタート/フィニッシュラインに到達するまではプッシュ・トゥ・パスを使用することはできない。(記事末尾にレギュレーションの原文記載アリ)

 ニューガーデンとマクラフランについては、再スタート時にプッシュ・トゥ・パスを使用することで競争上の優位性を得たと判断され、失格の裁定が下った。残るパワーについては、アドバンテージを得た事実はないと判断され、獲得ポイントの減算という裁定となった。

2024年NTTインディカー・シリーズ第1戦セント・ピーターズバーグ 失格となったジョセフ・ニューガーデン(左)と繰り上がりで優勝となったパト・オワード(右)

 また、3台のエントリーすべてに2万5000ドル(約387万5250円)の罰金が科せられ、開幕戦セント・ピーターズバーグのレースに関連する賞金はすべて剥奪されている。

 インディカー・シリーズのジェイ・フライ社長は今回の件について「インディカー・シリーズにおいて、チャンピオンシップの誠実さは極めて重要だ」と語る。

「セント・ピーターズバーグでは違反は検出されなかったが、ロングビーチでのウォームアップ中に不正操作を発見し、その場で直ちに対処した」

「そしてその後、参加しているすべての車両がレギュレーションに準拠していることを確認した。バーバー・モータースポーツ・パークで行われる第3戦からは、今回のような違反を阻止するために新しい技術検査手順が導入されることになる」

 今回の裁定についてチーム・ペンスキーのチーム代表のティム・シンドリックは、チームの公式SNSにて「不運なことに、ハイブリッドテストの際にインストールしていたプッシュ・トゥ・パスのシステムを取り除くことができていなかった」とコメントしている。

「このソフトウェアが、リスタート時に許可されていないプッシュ・トゥ・パスの作動を可能にしていた。そして、ジョセフ・ニューガーデンの2号車とスコット・マクラフランの3号車が、リスタート時に許可されていないタイミングでシステムを作動させてしまっていた」

「チーム・ペンスキーは、インディカーによって適用されたペナルティを受け入れる」

■2024年NTTインディカー・シリーズ第1戦セント・ピーターズバーグ 決勝(4月24日発表)

Pos. No. Driver Team Engine Laps/Gaps SP

1 5 P.オワード アロウ・マクラーレン C 100 3

2 12 W.パワー チーム・ペンスキー C 1.1438 8

3 26 C.ハータ アンドレッティ・グローバル H 2.3457 4

4 10 A.パロウ チップ・ガナッシ・レーシング H 3.8915 13

5 60 F.ローゼンクヴィスト メイヤー・シャンク・レーシング H 6.4923 2

6 7 A.ロッシ アロウ・マクラーレン C 7.8732 15

7 9 S.ディクソン チップ・ガナッシ・レーシング H 8.3843 11

8 21 R.ヴィーケイ エド・カーペンター・レーシング C 10.9225 7

9 14 S.フェルッチ A.J.フォイト・エンタープライゼス C 15.1316 14

10 27 K.カークウッド アンドレッティ・グローバル H 16.6755 18

11 6 C.アイロット アロウ・マクラーレン C 20.7992 16

12 4 K.シンプソン チップ・ガナッシ・レーシング H 21.6541 23

13 30 P.フィッティパルディ レイホール・レターマン・ラニガン H 24.9054 26

14 15 G.レイホール レイホール・レターマン・ラニガン H 26.7834 22

15 66 T.ブロンクビスト メイヤー・シャンク・レーシング H 32.5605 17

16 78 A.カナピノ フンコス・ホーリンガー・レーシング C 34.2126 20

17 18 J.ハーベイ デイル・コイン・レーシング H 41.4332 27

18 45 C.ルンガー レイホール・レターマン・ラニガン H 50.8226 12

19 20 C.ラスムッセン エド・カーペンター・レーシング C 1Lap 21

20 51 N.シーゲル デイル・コイン・レーシング H 1Lap 25

21 8 L.ルンドクヴィスト チップ・ガナッシ・レーシング H 3Laps 19

22 77 R.グロージャン フンコス・ホーリンガー・レーシング C 18Laps 5

23 28 M.エリクソン アンドレッティ・グローバル H 48Laps 6

24 41 S.R.ロブ A.J.フォイト・エンタープライゼス C 67Laps 24

25 11 M.アームストロング チップ・ガナッシ・レーシング H 75Laps 10

26 2 J.ニューガーデン チーム・ペンスキー C 100Laps 1

27 3 S.マクラフラン チーム・ペンスキー C 100Laps 9

当該レギュレーション
 Rule 14.19.15. An indicator to enable Push to Pass will be sent via CAN communication from the timing and scoring beacon on board the Car to the team data logger. This signal must be passed on to the ECU unmodified and uninterrupted during all Road and Street Course Events.
※編集部訳
 規則 14.19.15 プッシュ・トゥ・パスの使用状況を管理するインジケーターの情報は、マシンに搭載されたタイミングおよび計測ビーコンからCAN通信を介して、いかなる変更や切断なしにECUに転送される必要がある

 Rule 14.19.16. Race Starts and any Race Restart that occurs before the lap prior to the white flag or prior to three minutes remaining in a timed Race Event will have the Push to Pass system disabled and will be enabled for a given Car once that Car reaches the alternate Start/Finish line.
※編集部訳
 規則 14.19.16 レーススタート時およびリスタート時(最終周を示すホワイトフラッグの前や時間制レースの場合は終了3分前よりも前に行われるもの)には、プッシュ・トゥ・パスが無効となり、そのマシンが代替スタート/フィニッシュライン到達すると、そのマシンに対して使用が有効となる

投稿 インディカー開幕戦で違反が発覚。勝者ニューガーデン含むペンスキー勢が失格、オワードが繰り上がりウイナーにautosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄