県内8市町が「消滅可能性」 50年までに若年女性が半減 人口戦略会議が公表

 経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」は24日、2020~50年の30年間で、子どもを産む中心世代となる20~30代の女性が50%以上減る自治体を「消滅の可能性がある」として公表し、本県では日光、矢板、那須烏山、益子、茂木、市貝、塩谷、那珂川の8市町を挙げた。10年前の2014年に別の民間組織が同様に消滅可能性を指摘した際は、6市町が該当した。今回は矢板、益子、市貝の3市町が新たに加わった一方、那須町は消滅可能性から脱却した。

 国立社会保障・人口問題研究所が23年12月に公表した地域別将来推計人口を基に分析。人口移動がある場合と、ないと仮定した場合の若年女性減少率を組み合わせ、自治体を大きく4分類した。

 分類は消滅可能性のほか、100年後も若年女性が5割近く残る「自立持続可能性自治体」、人口流入が多いものの出生率が低い「ブラックホール型自治体」、いずれにも該当しない「その他」。

 本県の25市町は「消滅可能性」が8市町で、それ以外は「その他」だった。50年の若年女性の人口減少率は塩谷、那珂川、茂木の3町で70%を超えるとされた。8市町は「自然減対策が必要・社会減対策が極めて必要」、「その他」の16市町(芳賀を除く)は「自然減対策・社会減対策が必要」、芳賀は「社会減対策が必要」と指摘された。

 公表を受け、福田富一(ふくだとみかず)知事はこの日の定例記者会見で「各市町でできる限りの努力をしたと思うが、結果は残念。厳粛に受け止める」と述べた。県も人口減少対策に注力しているが、「婚姻数が増えず、子どもも増えない。若い女性の流出が止まらない」と実情を受け止める。

 14年に続き「消滅可能性」と名指しされた日光市は「民間団体が一定の仮定のもとに作成したリポートを論じる立場にない」とした上で「地方自治体による人口の奪い合いを助長するもので『消滅可能性自治体』と言われるのは非常に心外で残念」とした。

 一方、若年女性の人口増減率が改善した那須町は「率直にうれしい。これまでの移住・定住促進策が功を奏したのではないか」と強調。15年度にふるさと定住課を新設、民間の集合住宅が少ない事情を踏まえて町営住宅を建設するなど対策を進めてきたという。

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