【U23日本代表、カタールとの大一番を前にした精神力と団結力を探る(2)】選手それぞれが明かす大一番を前にした緊張感……松木玖生「プレッシャーは感じない。絶対に勝つ」

カタール戦を翌日に控え、4月24日にドーハ市内で練習するUー23サッカー日本代表MF松木玖生 撮影:中地拓也

負ければ終わりの準々決勝。日本代表がぶつかるのはパリ五輪の最終予選を兼ねたU―23アジアカップの開催国であるカタールだ。韓国に負けたことで2位通過となり、ここまで7大会連続で出場してきたオリンピックの参加権利をカタールと争うこととなった。

日本中の注目を集める一戦とあって、選手それぞれの持つ感情もそれぞれだ。23日の夕食後に行われた選手ミーティングで改めて団結を訴えた山本理仁は、選手の立場として感じる精神面について次のように語る。

「僕自身は一戦一戦を負けられないと思ってやってるし、緊張するタイプでもないのでそこまで変わらないですけど、選手によってはやっぱり緊張する選手も出てくる。そこは僕だったり、譲瑠(=藤田譲瑠チマ)もそんな緊張するタイプではないと思うから、うまくほぐしてあげたらいいのかと思います」

松木玖生も、「プレッシャーは感じないです」と言い切る一人だ。20歳にしてFC東京という首都クラブの主将を務める松木は、この大一番に向けても「平常心です」と表情を変えずに話す。その平常心について聞くと、「絶対に勝つ」という思いが心の中に強くあるからだと説明する。その歯切れの良さは、質問していてとても気持ちのいいものだった。

■「逆に楽しみです」

今大会の日本代表を左足でけん引する山田楓喜は、開催国のサポーターが駆け付けてアウェイの空気を作り出すことに、むしろ「なんかわくわくするっていうか、逆に燃える」と話す。そして、判定すら“ホームチーム”に傾きかけない空気感を「逆に楽しみです。そういうのに勝っていかないと、やっぱオリンピックの切符は取れないと思うので」とすら話す。

その山田楓と右サイドでコンビを組むことが予想される関根大輝も、同じ考えだ。スタジアムが完全アウェイの空気に包まれることを予想したうえで、「僕自身はそっちの方がすごいやりやすいっていうか、やりがいがあるます。判定とかいろいろストレスが溜まるところはあると思いますけど、そういうところを結果で黙らせたい」と言うのだ。

この試合は90分で決着がつかなければ延長に進み、それでも勝敗が決まらなければPK戦に突入する。どんな形であっても、白黒を分ける一戦である。一方で、このチームはそうした延長やPKにもつれこんでの試合展開を経験したことがない。その面に関しては、個人の蓄積に頼る部分が大きくなる。

しかし、それぞれの経験を共有しつつメンタル面でも支え合おうとしている姿が、選手に取材していて伝わってくる。

「チームとして結束力が高まった」
佐藤恵允が手応えをこう口にするチームが、パリ五輪の出場権だけでなく、日本代表としての新たな希望もつかみ取る。

(取材・文/中地拓也)

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