なぜ遠藤航はヨーロッパの舞台で輝けるのか。“短所克服の落とし穴”を元Jリーガーが独自見解

今、ヨーロッパの主要リーグでもっとも活躍している日本人選手は、リバプールの遠藤航だろう。昨夏にドイツのシュツットガルトからイングランドに新天地を求めた遠藤は、シーズンが進むにつれてユルゲン・クロップの信頼を得て中盤の主力として確かな存在感を示している。

遠藤がJリーガーだった頃(湘南ベルマーレや浦和レッズに在籍)、ここまでの活躍を想像できただろうか。元Jリーガーで欧州でのプレー経験もある鄭大世氏にそう訊くと、「想像できなかったです」と返された。

なぜ遠藤はヨーロッパの舞台で輝けるのか。鄭大世は独自の見解を示した。

「Jリーグでプレーしていた頃はなんでもできる印象でした。全体的にバランスが良くて、キャラを確立していなかった。でも、シント=トロイデン、シュツットガルトで少しずつ自分の色を出していった。そこがサッカー選手にとってはとても大事なところです」

遠藤はドイツでデュエル王と評されたように、1対1の強さ、ボール奪取力に秀でたキャラクターとして地位を確立。これが飛躍へのきっかけになったと鄭大世氏は考えているわけだ。

「試合に出られなかった時、たいていの選手が出来ないことをしようとする。今、自分が試合に出られないのは出来てないことがあるからだと、短所を克服しようとするんです。でも、それはある意味落とし穴で、てあまり上手くいきません。結局、短所ばかりに目をやって結果が出ないと、どんどん自信を失ってしまう。要するに、自分のキャラクターを薄めているわけですからね。最終的に監督は個性で(スタメンなどを)選ぶというなかで、遠藤選手はしっかりと自分のキャラクターを作れた」

ベルギーのシント=トロイデンからドイツのシュツットガルトへ、さらにイングランドのリバプールへと、理想的なステップアップを遂げている遠藤。ここからさらなる飛躍を遂げられるのか、非常に楽しみだ。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

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