国交省/働き方改革モデル事業を募集、効率施工を促進・元下連携に重点

国土交通省は建設業の特殊性を踏まえた働き方改革を後押しするため、建設現場の工程管理や元下間の調整に起因する課題の解決を目指した取り組みを実際の現場で試行する建設会社を募集する。さまざまな専門工事の業種・工種ごとに施工効率の低下を招いている要因と、その解消につながる方法を提案してもらい、選定したモデル事業の経費を同省が負担する。モデル事業による労働時間の削減効果を明らかにした上で、優良事例を公表し普及させる。
2023年度補正予算に盛り込んだ新規事業「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」に関するモデル事業の募集を24日に開始した。5月8日午後1時30分から募集内容の説明会をオンラインで行う。同17日まで応募を受け付ける。
公共、民間を問わず、6~11月ごろに現場で検証可能な工事を対象とする。元請の下で多くの下請が順に入れ替わりながら工事が行われる建設業の特性を念頭に、元請と下請の連携が前提となるような個社単独では難しい取り組みを優先的に選定する方針。それぞれの業種・工種で抱える課題に沿った多様なモデル事業を展開し、働き方改革に有効な取り組み事例を幅広く検証する。
同省は選定対象とする取り組みを四つのタイプに分類し、具体的な事業例を示している=表参照。中でも元請の事情などで下請の非効率な業務が生じている実態の改善を目指す専門工事会社からの提案に重点を置く。クレーン車両の回送時間を削減するため現場近くに駐車場を確保するなど、施工効率を向上させるための掛かり増し経費の負担などを想定する。
工事全体の工程管理の効率化を目指す元請主体の取り組みも対象とする。例えば内装工事や設備工事で発生しがちな工期のしわ寄せを防ぐため、工程調整に役立つICTツールの導入や現場管理に精通する専門家の活用などを支援する。災害復旧・復興時も働き方改革への配慮が必要との考えから、被災自治体のマンパワー不足などで適切な発注がされない場合の打開策につながる試行的な取り組みも支援対象に加えている。

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