関東地方4県/道路啓開計画策定の検討進む、栃木は協議会で骨子案・茨城は計画案運用

大規模災害の発生時、道路に積もったがれきなどを取り払って緊急車両の通行を可能にする「道路啓開」が、被災地の復旧や被災者の救護に大きな役割を果たす。能登半島地震をきっかけに、啓開の手順や関係機関の協力体制などを記した「道路啓開計画」を定めていない地方自治体が多いことが判明。未策定の団体では各担当者が計画策定に向けた協議会の立ち上げや、検討作業を進めている。関東地方の未策定県の動向をまとめた。
関東地方では栃木、茨城、千葉、山梨の4県が道路啓開計画を策定していない。栃木県は3月4日、関東地方整備局や道路・電力会社、栃木県建設業協会、陸上自衛隊と共に「栃木県道路啓開計画策定協議会」を立ち上げた。25日に開く第2回会合で骨子案を示す。その後も会合を複数回開き、9月の計画策定を目指す。
同県の谷英夫県土整備部長は「災害時は想定外が次から次へと起こる。備えずに臨機応変の対応はできない」と語る。東北地方整備局がまとめた「東日本大震災の実体験に基づく災害初動期指揮心得」の「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」との言葉を引用し、事前の計画策定の重要性を説く。
茨城県は関係機関とつくる「茨城県緊急輸送道路ネットワーク計画等策定協議会」で「茨城県道路啓開計画(案)」を3月に策定した。「いつ」「誰が」「何をするか」を整理した道路啓開タイムラインや、啓開の優先順位などを記載。課題整理や計画見直しなどを想定し、案の状態で運用していく。
千葉県県土整備部道路環境課の担当者は、能登半島地震を受け「道路啓開計画の策定を前向きに検討している」と話す。具体的なスケジュールなどは未定という。同県は2015年に千葉県版「くしの歯作戦」として、津波被害時、九十九里・南房総沿岸部の道路啓開候補路線を選定しており、「こうした計画についても見直しできればと思う」(担当者)としている。
山梨県は24年度に道路啓開計画を策定できるよう検討作業を進めている。

© 日刊建設工業新聞社