青森山田から鳴り物入りで浦和加入も…J2武者修行→復帰→待望の初G「長かった」

鳥取戦でゴールを決めた武田英寿(写真は2021年)【写真:Getty Images】

MF武田英寿がルヴァン杯鳥取戦で浦和初ゴール

浦和レッズのMF武田英寿は、4月24日のルヴァン杯ファーストラウンドの2回戦ガイナーレ鳥取とのアウェーゲームで先制ゴール。今季初出場のゲームに自身の浦和初ゴールで5-2の勝利を導いた。

武田は青森山田高校から2020年に浦和へ加入した。浦和は武田の才能を高く評価して、早くから獲得を目指した動きを見せて3年時の6月には加入が発表されるほどだった。期待を受けながらも初年度はプレー機会があまりなく、翌年はリカルド・ロドリゲス監督の指揮下で一時はレギュラー獲得かと思わせるプレーも見せたが負傷もありメンバーから外れることが増え、夏にはFC琉球へ半年間の期限付き移籍。その後もJ2大宮アルディージャと水戸ホーリーホックに1年ずつの期限付き移籍でプレーした。

そして今季に向け2年半ぶりの浦和復帰となったが、沖縄県でのトレーニングキャンプからなかなかレギュラー組に絡めない時期が続いた。それでも今月に入ってペア・マティアス・ヘグモ監督は会見で武田について「成長している」と言及。この鳥取戦で右のインサイドハーフに起用されスタメンのチャンスを掴んだ。

そして前半12分、浦和がサイドチェンジを繰り返した攻撃でFW前田直輝がボール受けたところをオーバーラップしたDF石原広教のクロスに武田が飛び込んだ。トレードマークの左足ではなく右足でのゴールだったが、「サイドが2対1だったので自分が関わらなくても良いなというなかで、ペナルティーエリアの中に入った」と冷静な状況判断が光った。そして、「ゴール前に入ることは自分の中でも課題ですし、日々言われていることだったので、それが結果に結びついて良かった。しっかり枠に飛ばせたのでゴールになって良かった」と喜んだ。

さらに後半8分には、右コーナーキックでキッカーに立つと得意の左足で鋭く曲がり落ちる弾道のキックを披露。狙いどおりのポイントに蹴ったボールはFWチアゴ・サンタナに合ったもののシュートに結びつかなかったが、こぼれ球をMF伊藤敦樹が蹴り込んだ。コーナーキックや直接狙える位置のフリーキックのチャンスがあまりなかった試合展開でも、改めてキック精度の高さを示した。ヘグモ監督も試合後会見で「素晴らしい左足を持つヒデ(武田)もそうです。彼は非常に賢い。彼にとってもいい経験になったと思う」と称賛していた。

2020年の加入から見れば4年が経っての浦和初ゴールになった。武田は「長かったけど、自分が日々トレーニングをしてきて、少しずつですけど成長できているという自信になったし、実際ゴールを決められた。だけど、納得できるプレーを多くできなかったので、これからも日々のトレーニングを大切にやっていけば良いかと思う」と向上心を見せた。

選手層の厚い浦和の中盤で、武田には唯一の左利きというアピールポイントもある。前回の浦和所属時は新型コロナウイルスの影響があっただけに、「合間、合間で応援を聞きながらすごいなと思いながらやっていました。力になりました」と、初めて浦和サポーターの声援を受けてのプレーについて話した。そして「多くのサポーターが入った埼スタでプレーができれば」と、ホームスタジアムでのプレーに向けて意欲を示していた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

© 株式会社Creative2