1989年4月25日にナムコから発売されたファミリーコンピュータ用ゲーム『デビルマン』(ナムコ)が、本日で35周年を迎えました。
ファミコンのキャラゲーや版権ゲーといえば、“出来が微妙”なゲームも多いことでも知られています。そんな中で、ファミコンの『デビルマン』は、原作ファンから見てもストーリーの再現性がかなりのものなのをご存じでしょうか。
■アニメではなくコミックス版の『デビルマン』がファミコンで再現!
みなさんは『デビルマン』と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。多くの人は、緑色のダークヒーローであるアニメの『デビルマン』だと思います。口ずさむだけで必殺技を覚えられるオープニングは、いいですよね。しかし、ファミコン版『デビルマン』は、パッケージのイラストを見ればわかる通り、コミックスがベースのゲームなのです。
ゲーム内容は横スクロールのアクションと、ストーリーを進めるためのアドベンチャー要素が組み合わさったもの。ゲームの主人公はコミックス同様に不動明(=デビルマン)で、飛鳥了、牧村夫妻に娘の美樹、不良グループの木刀政やドス六のほか、雷沼教授などといったキャラクターも登場。
会話画面では、アニメとは違い、コミックス風の濃い絵柄のキャラクターたちを見られるだけでなく、ストーリーの進行により明のほかに美樹やドス六を操作するパートもあったりします。美樹vsドス六をプレイできるのはおそらく本作だけでしょう。
■アクションゲームとして見ると…デビルマンも意外と弱い?
ゲームの進行はループする横スクロールのステージを動き回って、建物の中に入ったり、徘徊するデーモンと戦ったりを基本とするアクションゲーム。ただ、操作性のレスポンスも含めてアクション部分は正直、良作とはいいがたいデキかもしれません。デビルマンに変身できるようになると、ようやくマップを徘徊できるデーモンと戦うことができるようになります。
ですが、デビルマンの力も無双できるほどではなく、敵の攻撃どころが接触するだけでライフが激減し、けっこう簡単にゲームオーバーになってしまいます。コンティニューもあるのですが、使うとライフの上限値が下がってしまうというデメリットもあり、十全な状態でボスと戦うにはライフを減らさずにマップを潜り抜けていかなくてはならないという、かなり難度の高いゲームになっているのです。
■凄惨な描写はないもののコミックス版のストーリーがプレイヤーを襲う!
ただ、その一方で、ストーリーの再現性は最高峰であると言えるのがファミコン版『デビルマン』。
飛鳥了に請われてデビルマンとなった不動明。それがきっかけなのか、明の保護者である牧村夫妻が悪魔特捜隊に捕まってしまい助けに行ったりなど、コミックス版のストーリーを踏襲。とはいっても、さすがにファミコンではコミックス版の牧村夫妻や美樹の衝撃的な姿や、悪魔特捜隊に実験材料にされた人間たちへの拷問などトラウマ級の凄惨なシーンはありません。
それでも、悪魔特捜隊に連れて行かれたという情報をゲームで見た時点で、コミックスを読んだことのあるプレイヤーほど勝手にトラウマを刺激されてしまうことは間違いないでしょう。
そんなデビルマンの行動を阻むシレーヌやジンメン、サイコジェニーといったデーモンも登場し、バトルが繰り広げられます。ここの部分はコミックスよりもアニメに近く、デビルマン軍団を率いてデーモン軍団と戦う展開にはならず、ゲームらしくデビルマンひとりで上記のデーモンたちと戦い、最後には悪魔王ゼノンと一騎打ちすることになります。そして、ここまでのストーリーの進め方と、この後の展開によりエンディングが分岐するのです。
■原作を超えた!? エンディングは必見の価値あり!
エンディングのひとつは謎が解けないまま人類が滅亡するもの、そしてもうひとつはコミックスと同様にデビルマンに寄り添う大魔神サタンの背後で天使らしき存在が現れるという、コミックスのラストシーンを再現したもの。
そして、3つめがゲームオリジナルのサタンを打ち破ったエンディングです。さすがに3つめのエンディングはネタバレが過ぎるので詳細は語りませんが、“愛の結末”といった雰囲気のものでした。
筆者は、子どもの頃にアニメを見て、学生時代にコミックス版を読んで大ショックを受けたという『デビルマン』ファン。当時は“アニメ版のキャラゲーだろう”とスルーしていて、リアルタイムでファミコン版を遊んだことはありませんでした。でも遊んでみると、アニメではなくコミックス版をここまで踏襲しているのか! と驚きました。
『デビルマン』のファンで、まだプレイしたことがない人は、ちょっと大変かもしれませんがぜひプレイして、このゲームがどれだけコミックスの物語を再現しているのかを見てもらいたいです。