【やじうまミニレビュー】これは万人におすすめ。約1万円のロジクール製スリムキーボード「K950」

by 浅井 淳志

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。

Signature Slim K950(グラファイト)

株式会社ロジクールから、フルサイズでスタンダードモデルのワイヤレスキーボード「Signature Slim K950」が発売された。価格は1万890円だ。

今回、発売前に本製品を試用できた。在宅業務で数週間ほど使用したのだが、誰にでもおすすめできそうなキーボードだったので、本稿ではその良さを紹介する。製品の仕様については既報を参照されたい。

Signature Slim K950(オフホワイト)

まずはハードウェア面から紹介する。本製品最大の特徴は厚さ23.1mmの薄型設計である(たとえばREALFORCE R3なら39mm)。これは頑丈さも考慮した適度な薄さで、重量も685gと軽量でありながら、打鍵時の本体のずれもしっかりと抑制する適切な重さとなっている。

また、本体には8度の角度がつくキックスタンドも搭載しているため、薄型ながら快適なタイピングポジションを保つことができる。

本体にはキックスタンドを内蔵する

キー構造にはノートPCで一般的なパンタグラフ方式を採用している。キーストロークを測ったところ約2mmで、軽快ながら確かな打鍵感を実現し、周囲に迷惑にならない程度には静音性も備えている。

これまでキーボードを選ぶ際は、茶軸や赤軸といったどの軸のメカニカルキーボードにするかから考えていたが、本製品を通じて、今後はパンタグラフ製品も選択肢に入れようと思えた。筆者には、ゲーム用や業務用など、特定の用途に最適なキーボードがそれぞれあるのだが、用途に限らず汎用的に使用するのであれば本製品のデザインや打鍵感は素晴らしいと感じた。

キー構造にはパンタグラフ方式を採用

バッテリは電池式で、単4形乾電池2本で動作する。コスト面などから非充電式となっているが、電池寿命は最大3年と長寿命だ。実際、数週間ほぼ毎日使用していてもソフトウェアで確認する限りバッテリは100%表示のままなので、電池交換を気にせず使用できるだろう。筆者としてはむしろ電池式で良かったとすら思っている。

単4形乾電池2本で動作する

シームレスに複数PCを操作でき、キーのカスタマイズも可能

ソフトウェア面については、「Easy-Switch」ボタンをまず語るべきであろう。これは最大3台のデバイスと接続でき、ワンタッチで素早く切り替えできるロジクール独自の機能だ。Easy-Switchを使えば、複数のPCのキーボードをK950に集約可能となる。

今回、レビューするにあたって2台のPCと接続して同ボタンを初めて使用したが、切り替えにほとんど時間がかからず、2台のPCをまるで1台のPCで使っているかのようにスムーズに操作できることにかなり驚いた。同機能の利便性は非常に高く、複数デバイスを並行して使うユーザーにとっては大きなメリットとなるだろう。

Signature Slim K950は複数台のデバイスとの使用に好適だ

また、本製品の接続はBluetoothだけでなくUSBレシーバによる無線接続も可能なLogi Boltもサポートする。筆者はBluetooth接続で遅延も感じていないため現状使用していないが、Bluetoothが使えない環境などでは便利だろう。なお、Logi Boltレシーバは電池ボックス横に格納できるので、持ち運び時や収納時の紛失を防げそうだ。

Easy-Switchボタン

Easy-Switchボタンの設定については、ソフトウェアのLogi Options+で行なえる。同ソフトではキーの割り当てもできる。筆者はキーの割り当てに関して、現状使用していない絵文字キーをChatGPTの起動が可能なAI Actionsキーを設定している。

Logi Options+
AI Actionsキー

MX KEYS Sとの違いは?

ロジクールは、キー構造にパンタグラフを採用した薄型のフルサイズキーボードとして、本製品とよく似たフラグシップ製品「MX KEYS S」を昨年6月に発売している。

MX KEYS SとSignature Slim K950との主な違いとしては、MX KEYS Sはキー先が指先の形状にあわせて球状にくぼんでいるほか、自動調節バックライトを搭載し、1,500mAhバッテリによる充電式を採用している。

各製品のターゲット層については、Signature Slim K950はエントリーやエントリーの一歩先のユーザーを対象としており、MX KEYS SはAdobeの編集ソフトを頻繁に使うような上級者に向けられたものとなっている。

MX KEYS S

価格は、Signature Slim K950が1万890円、MX KEYS Sは2万1,780円。筆者はMX KEYSの使用経験もあるが、筐体の高級感や打鍵感など細かな違いもあるので、購入を検討するなら店頭で両製品を試してみることをおすすめする。

なお、両製品を試した筆者としては、いくら薄型軽量でもフルサイズという点で別の場所に持ち運ぶには不向きだと感じているので、MX KEYS Sを1台買うのであれば、Signature Slim K950を2台購入して自宅と会社に置いておきたいと思った。

Signature Slim K950はフルサイズキーボードの新定番になりそう

Signature Slim K950は、高級機のような尖った性能はないが、全体的に均衡の取れた高品質なキーボードだ。薄型軽量ではあるがフルサイズであるため、携帯性はコンパクトなキーボードに軍配が上がるが、据え置きのキーボードとしてはかなり優秀な製品である。

このキーボードは、その汎用性から幅広いユーザーにおすすめできる。ユーザーにとって1番のキーボードになるかはさておき、フルサイズが障壁とならない場合、本製品を不便と感じる人はほとんどいないだろう。

Signature Slim K950は、スタンダードなフルサイズキーボードとして新定番になる可能性を秘めている。実機を見かけた際は是非、触っていただきたい。

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