板金の端材を無駄にしない 異業種コラボでごみ削減 神棚などの木工メーカーが金属製の神具を販売【SDGs】

3月、静岡県吉田町の神棚などを作るメーカーが新たに神道の道具=神具の販売を始めました。違う業種の2人の女性経営者が工場から出る「ごみ」を減らそうと開発した商品です。

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<山口駿平記者>
「神棚の専門店です。木製の神棚が並ぶ中、ひときわ目を引くのが金属製の破魔矢立てとお札立てです」

吉田町にある「静岡木工」です。神棚を中心に木製神具の製造販売をしています。3月、木材以外に金属部品を使った商品の販売を始めました。商品開発は、同じ吉田町の機械製造メーカーが静岡木工に声をかけたことから始まりました。

<静岡木工 杉本直子社長>
「ステンレスは折り曲げ加工ができるということで破魔矢なので弓のイメージで作ったものです」

<大川原製作所 大川原綾乃副社長>
「このステンレスは当社が乾燥装置を作るにあたって出る端材、端っこの材料なんですけれども、こういった製品にしてよみがえっているのはうれしく思う」

吉田町にある業務用乾燥装置のメーカー「大川原製作所」。製造の工程で出てしまう「板金の端材」の処理が課題でした。

<西谷一範生産本部長>
「レーザー加工機っていう装置があるんですけど、この装置で切断した残りの板っていうのが端材になるんですけど、残った部分は大体80トンくらい排出される。それを有効利用できないかなというところで今回のコラボ商品の開発につながりました」

端材は溶かして再利用していますが、その際、二酸化炭素が発生します。2030年までに端材の量を50%削減することを目指している大川原製作所は、同じ地元で女性経営者同士という縁から静岡木工と共同プロジェクトを始めました。

「破魔矢立て」のデザインのモチーフは「弓」。単に余った端材を使うのではなく「金属らしさ」を活かすため両社でアイディアを出し合いました。

<大川原製作所の社員>
「(静岡木工から)デザインをもらってて、それを形にしたのがこの第1号。ちょっと大きすぎる、重いかなというのと、弓をイメージしようということで幅を減らした、その上でできたのがこれ」

<静岡木工の社員>
「そこまで細くできるんだってなって、またさらに細くしたら、もう本物の弓に近づける見た目になるんじゃないのかなということで(最終的なデザインを)提案させていただいた」

大川原製作所のレーザー加工技術で細さ、プレスの技術でなだらかな曲線を実現。従来の木製のものとは趣きの異なる「破魔矢立て」が完成しました。また「お札立て」はお札の落下や転倒を防ぐため、ステンレスに曲げの加工を施しました。

<静岡木工 杉本直子社長>
「神棚というとヒノキであったり木材で作るというイメージしかなかった。あと、現代の住宅にあったスタイルで作ることができたことがうれしいと思っている」

<大川原製作所 大川原綾乃副社長>
「廃材とか端材とかをまた新たに命を吹き込んで新しい商品にするっていうのをアップサイクルという言葉を使うんですけど、まさに今回コラボレーションさせていただいたこの商品はアップサイクルで出来上がっているという風に思っている」

商品の開発に際し、互いの工場などを見学した静岡木工と大川原製作所。今回の技術交流を、さらなる環境への配慮(SDGs)につなげたいと話します。

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