超特急、チケット入手困難なライブの魅力 人々を惹きつける4つのポイント

スターダストプロモーション・EBiDAN所属の9人組グループ・超特急が4月17日に東京・秩父宮ラグビー場でフリーイベント『超特急×ユニバーサルミュージック連結記念イベント』を開催し、そこで現在開催中のホールツアー『BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”』の追加公演を8月27日と28日の2日間にわたってKアリーナ横浜で開催することを発表した。ホールツアーのチケットが即完売していることを考えると、恐らく追加公演も同じく人気の公演となることが予想される。チケットが入手困難となるまでの注目を集める彼らのライブには、どんな魅力があるのだろうか?

超特急のメンバーはメインダンサーとバックボーカルとで構成される。7人のメインダンサーが主にステージ前方でダンスを担当し、後方で歌を担当する2人がボーカルを担っている。メインダンサーの声がマイクに乗るパートやバックボーカルがフォーメーションに参加することはあれど、担当をしっかり分けている彼らのパフォーマンスはダンスも歌もそれぞれに全力で、高いクオリティのものをライブで受け取れることが大きな魅力なのではないだろうか。ワンマンライブではメンバーそれぞれのソロの時間が設けられることもあり、一人ひとりの実力を堪能できるステージも展開される。

そして、超特急といえば、“ダサかっこいい”パフォーマンス。ユニークな振り付けが取り入れられることも少なくはなく、曲中に筋トレを始めたり“土下座ダンス”なるものが取り入れられたりと、ダンスという枠にとらわれないパフォーマンスが彼らの唯一無二の持ち味だ。きっと中途半端にやればただ“ダサい”で終わってしまうような振り付けも、彼らが踊ることで“かっこいい”へと変わっていく。歌詞に合った振り付けも多く、一つひとつの動きが曲の世界観を強固にし、それがライブ全体の世界観へと繋がっているように思う。

彼らのライブを語るには楽曲の良さも欠かせない。筆者は、超特急の曲が胸に響くのは、絶望の中に差し込んだ希望を歌うような歌詞にひとつの大きな所以があるように思う。例えば「a kind of love」の〈僕らなしでも世界は/必ず回り続ける/それでもね 僕には君が必要なんだよ〉や「Shake body」の〈社会は敵だらけでも素敵な事が/あると信じていれば必ず僕らに会えるから〉など、あっけらかんと励ますのではなく聞く人の日常には少なからずマイナスな面があることを前提としているような歌詞が多い。底抜けに明るい曲調にどこか切なさやネガティブな要素を孕む歌詞が乗ることで、人々の感情に入り込む楽曲が完成しているのではないだろうか。そしてそれを、たくさんの苦難や葛藤に直面し、グループとして順風満帆なだけではなかった超特急が踊りと歌でパフォーマンスし、彼らの生の思いが乗るからこそ楽曲が説得力を持つように感じる。

さらに、超特急のライブの醍醐味といえば、メンバーとファンの一体感だ。8号車(超特急のファンの呼称)は、それぞれ好きなメンバーのイメージカラーや8号車の色であるピンクのペンライトを持ち、リズムに合わせて振ったり頭上でくるくる回したり振り付けを真似したりと見事に揃った動きを見せる。またコールも盛んで、まるで8号車の声までもが曲の一部とも言えるような究極の参加型ライブなのである。……と言うと、完璧に予習していかなければならないという不安に思う人もいるかもしれないが、真似しやすいキャッチ―な振り付けを促したりメンバーも「せーの!」と呼びかけてくれるため、初めてライブに来た人でも疎外感なく一緒に楽しめるのが彼らのライブが生み出す温かさである。こうして、ただ客席から見るだけでなく自分も曲の中に入っていく没入感が非現実感をより一層強くし、超特急のライブでは仕事や学校などの日常を忘れられるというファンも多いのではないだろうか。

生のパフォーマンスを最大の武器にしてきた彼らのライブは、やはり唯一無二のエンターテインメントであり、不思議なまでのパワーが貰えるものだ。今ツアーの爆発的な人気を見ると彼らが長らく掲げている東京ドーム公演の夢も近くまで迫ってきているようにも思える。ノンストップで駆けていく超特急に乗りこむなら今が絶好のチャンスだ。

(文=池田夏葉)

© 株式会社blueprint