今日4月25日は、待ちに待った給料日というサラリーマンも多いのではないでしょうか。そして、初めての給与を手する新卒新入社員も。そこで額面と手取り額の差に愕然とするというのが、日本のサラリーマンの通過儀礼ともいうべき定型パターンです。みていきましょう。
社会人2年目は振り返る「俺も去年は手取り額の少なさに驚いたよ」
ソニー生命保険株式会社が行った『社会人1年目と2年目の意識調査』によると、「社会人1年目で驚いたこと」の質問に対して、最多は「手取り額が少ない」で24.4%(男性19.6%、女性28.0%)でした。
【社会人1年目に驚いたこと】
手取り額が少ない:24.4%
人間関係が大変:18.8%
謎のルール・決まりごとがある:18.0%
理不尽なことが多い:17.6%
仕事量が多い:16.8%
ボーナスが少ない:16.6%
無駄な慣習がある:14.6%
ビジネス用語・専門用語が多い:14.0%
責任が重い:13.2%
時間管理が難しい:13.0%
まさに今日、4月25日は、初任給を受け取るという新卒社員が多い日。
――初めての給料日、何を買おうか
――両親へのプレゼントは定番
――自分へのご褒美も買いたい
そんな思いを馳せらせていたけれど、給与明細を見て愕然。「手取りが少なすぎる!」「天引き額が多すぎる!」と、思わず絶叫したくなる……誰もが通った道です。いや、サラリーマンであれば、給料日がくるごとに、額面と実際の振込額の差に大きな溜め息をついていることでしょう。
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大学新卒社員の平均給与は23万7,300円。初任給とは異なりますが、仮に額面24万円の給与を手にした新卒社員が、実際に目にする手取り額を確認してみましょう。
仮に東京都在住と仮定すると、額面24万円の給与は、税金や社会保険料が引かれて19万円ほどに。天引き率20.4%と、額面から2割減ということになります。
【給与「額面24万円」の大卒新入社員の手取り額】
額面:24万0,000円
手取り額:19万0,883円
(天引き額内訳)
所得税:4,291円
健康保険:1万2,000円
厚生年金:2万1,960円
雇用保険:1,440円
(住民税:9,425円)
給与が増えれば増えるほど、天引き額は多くなる…日本のサラリーマンの宿命
――給与から2割も天引きされるのかぁ
新卒社員、社会の洗礼に「社会人って厳しい~」と感じているでしょう。しかし、この社会の洗礼、きっと年を重ねれば重ねるほど、給与が増えれば増えるほど、より感じるようになるはずです。
20代後半~30代の天引き率は20~21%とあまり変わりませんが、天引き額はジワリジワリと増えていき、38歳時点で月8.25万円。さらに40代になり介護保険料が引かれるようになると、天引き額は23%台に一気に増加し、天引き額も10万円超え。給与額がサラリーマン史上最高となる50代後半には、天引き率が25%に迫るほどになります。
【大卒サラリーマンの平均月収と手取り額】
28歳:月収28万円→手取り22.1万円(21.8%)
33歳:月収33万円→手取り25.8万円(20.8%)
38歳:月収38万円→手取り29.6万円(21.8%)
43歳:月収42万円→手取り32.4万円(23.6%)
48歳:月収47万円→手取り35.8万円(23.4%)
53歳:月収51万円→手取り38.8万円(23.3%)
58歳:月収53万円→手取り40.1万円(24.7%)
日本の所得税は、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用して算出。その税率は、所得が多くなるに従って段階的に高くなる超過累進税率。平成27年分以後については、【図表】のようになっています。
【図表】所得税の税率 出所:国税庁ホームページ
まず所得税率が20%から23%になるタイミングである課税所得695万円超。給与収入で考えると、年収890万円を超えると所得税率はアップします。さらに所得税率が23%から33%と大きく増える、課税所得900万円超。給与収入で考えると、年収が1,100万円を超えてくると、所得税率もぐんと高くなります。これらはあくまでも概算なので一概にいうことはできませんが、ひとつの目安として覚えておくといいでしょう。
税金や社会保障費といった、本来自分で払うべきものを、会社が変わって払ってくれているのだから、多少給与から天引きされても当然である……そう頭で分かっていても、どうしても納得がいかないのは、先輩サラリーマンも同じ。ずっと理不尽な思いを抱えながら40年近く働き続けるのが「日本のサラリーマン」なのです。
[参考資料]