処理水放出を一時停止 福島第1原発で停電、掘削でケーブル損傷か

 東京電力は24日、福島第1原発で同日午前に停電が発生し、処理水の海洋放出を一時停止したと発表した。停電は構内で行われた掘削作業中に送電ケーブルが損傷したことが原因とみられ、東電は処理水の希釈放出設備に異常がないことなどを確認した上で停止から約6時間半後に放出を再開した。

 処理水放出を巡っては、3月に県内で震度5弱を観測した地震による放出停止はあったが、廃炉作業のトラブルに起因するとみられる停止は今回が初めて。東電によると、午前10時45分ごろに処理水放出設備を含む構内の一部で停電が発生。停電を検知した処理水の移送ポンプが自動で停止し、放出が止まった。別の電源系統を使い、午後5時15分ごろに放出を再開した。5月7日までとする5回目の放出計画にも影響は出ないとしている。

 停電について東電は、構内でケーブル敷設のため地面の掘削作業に当たっていた協力企業の50代男性作業員が、誤って送電ケーブルを損傷したことが停電につながったと推定されると公表した。

 この停電の影響で、廃炉作業の監視などを行う免震重要棟が復旧作業も含めて2度にわたって計約70分間停電するなどの影響があった。免震重要棟の停電は実施計画に定められた運転上の制限の逸脱に当たるため、東電は原子力規制庁に報告した。1~3号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却や周辺の空間放射線量への影響は確認されていない。

 東電や双葉署によると、男性作業員は顔などに軽いやけどを負った。

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