UBS会長、スイス政府の資本増強計画に「重大な懸念」

Noele Illien

[バーゼル 24日 ロイター] - スイス金融大手UBSのコルム・ケレハー会長は24日の年次株主総会で、スイス政府が求める資本増強計画について「重大な懸念を持っている」と述べた。

スイス政府は2週間前、クレディ・スイスが経営危機に陥ったような事態の再発を防ぐため大手行に対する資本要件をより厳格化することを提案。同国財務省の試算では、UBSの場合は150億─250億ドルの資本上積みが必要になる可能性が出てきた。

しかしケレハー氏は、クレディ・スイスが2007―09年の金融危機以降ずっと資本が拡充されていた点を挙げ、同行が危機に見舞われたのは資本が不十分だったからではないと主張。「追加資本(手当て)は間違った改善策だ」と批判した。

政府がこうした計画を打ち出した背景には、UBSがクレディ・スイスを救済合併して資産規模が年間国内総生産(GDP)の2倍前後に膨らんだことで、万が一問題が起きた場合にスイス経済が深刻な打撃を被りかねないとの不安がある。

これに対してケレハー氏は、UBSは「大きくてつぶせない」銀行ではなく、欧州で最も資本効率の高い銀行の一つだと強調し、配当や自社株買いを通じて株主還元を継続していく考えも明らかにした。

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