祖父の空き家を相続しました。立地的にも売れなさそうなのですが、どうすればいいですか?

空き家を相続した場合の選択肢は所有するか手放すか

空き家を相続したとき、相続した方が取り得る選択肢は「所有する」か「手放す」かです。どちらの選択肢が良いかは、相続した方の置かれた状況にもよります。所有するのであれば、ご自身で利用するか「賃貸に出して第三者に利用してもらう」ことになり、手放すのであれば、「売却する」ということになります。

賃貸に出す、もしくは売却する場合、不動産会社に相談をするのが一般的でしょう。知人に貸す、知人に売るといった場合でも、後々のトラブルを避けるためにも、不動産会社に間に入ってもらう方が無難です。

空き家を賃貸に出すときの流れ

空き家を賃貸に出す場合、以下のような手順で進めていきます。

__(1)賃貸に出せる状態にする
(2)賃借人を募集する
(3)賃借人を審査する
(4)契約をする
(5)引き渡す__

「賃貸に出せる状態にする」とは、建物内の物を片付けたり、掃除をしたりすることです。空き家を相続した場合、この作業が一番大変かもしれません。これは、賃貸に出すときでも売却するときでも変わりません。

賃貸に出せる状態になったら、借りてくれる方を探します。知人・友人で借りてくれる方がいれば良いのですが、一般には、不動産会社に依頼をして賃借人を募集します。

「借りたい」という方がいたら、すぐに契約をするのではなく、その方を審査することをおすすめします。賃貸の場合、継続的に家賃を支払ってもらう必要があるためです。年収や勤務先、勤続年数や人柄などから、信用できそうか総合的に判断しましょう。

借主が信用できそうであれば、賃貸借契約を結びます。契約は、貸主と借主の約束事ですので、不動産会社などの専門家に契約書を作成してもらうと良いでしょう。

契約をしたら、最後に物件(鍵)の引き渡しをします。その後は、家賃の入金確認や建物の維持管理などを行っていきます。不動産会社には、仲介だけでなく管理を行ってくれる会社もありますので、そちらに任せるということを検討しても良いかもしれません。

空き家を売却するときの流れ

空き家を売却する場合、以下のような手順で進めていきます。

__(1)売却できる状態にする
(2)買主を募集する
(3)物件の説明をする
(4)契約をする
(5)決済する__

「売却できる状態にする」とは、建物内の物を片付けたり、掃除をしたりすることですが、建物の状態や築年数によっては、建物を解体し、さら地(土地の上に何もない状態)にする必要があるかもしれません。しかし、建物をどうするかは買主との交渉にもよりますので、慌ててさら地にする必要はありません。

売却できる状態になったら、買主を探します。知人・友人で買ってくれる方がいれば良いのですが、一般には、不動産会社に依頼をして、買主を募集します。不動産会社によっては、自らが買主となる(その不動産会社が買い取る)場合もあります。

「買いたい」という方がいらっしゃったら、物件についてきちんと説明する必要があります。不動産を買うだけでも大きなお金を要しますが、何かしらのトラブルが発生したときも、大きなお金が必要になります。買主に不利な情報も伝えたうえで契約しないと、場合によっては損害賠償請求をされてしまう事態にもなりかねません。不動産会社が間に入っていれば、「重要事項説明」をすることで、トラブル回避につながります。

買主が決まったら、売買契約を結びます。契約書自体に決まった書式はありませんが、トラブル防止のため、不動産会社などの専門家に作成してもらうと良いでしょう。

「決済」とは、買主が売主に対し代金を支払い、売主が買主に対し土地・建物を明け渡すことです。代金の支払いは、口座振り込みが一般的です。土地・建物の明け渡しは、具体的には、登記(所有権移転登記)の手続きを行うことによって完了したとみなします。登記については、当事者で行うことも可能ですが、司法書士に依頼するのが一般的です。法務局で「登記完了」の書類を受け取ったら、本当の意味で引き渡しが完了します。

まとめ

本記事では、空き家を相続した場合に取り得る選択肢と、それぞれの手続きの流れについて解説しました。選択肢としては、「所有する」か「手放す」かです。所有するのであれば、自分で利用する、もしくは賃貸に出して第三者が利用することになります。また、手放すのであれば、売却することになります。賃貸に出すときの流れ、売却するときの流れは、本記事で解説したとおりです。

全体の流れを知っておくことは、どちらの選択肢を取るかの判断材料にもなるでしょう。どちらがいいかは一概には言えませんが、本記事を参考に、ご自身にあった選択をしていただければ幸いです。

執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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