初任給(4月25日)

 「サラリーマン」の呼称が生まれて、100年になる。第一次世界大戦後の大正期にさかのぼる。産業が急速に発展する中、高等教育を終えて就職し、給与を受け取る人が増え、一般に普及した▼給与を意味する英語の「サラリー」が語源の和製英語だ。歴史をさかのぼると、ラテン語で塩代を意味する「サラリウム」に行き着く。時代は古代ローマ。当時は塩がとても貴重で、兵士の給与としての意味も含むようになったためだという▼新社会人が初めて給与を受け取る時期を迎えた。100年前の大卒サラリーマンの初任給は50円前後だったが、今の相場は20万円を超える。数字のみを比べれば、実に4千倍だ。今年は主要企業の8割が引き上げるとの報道も。5万円以上の大幅増も相次いだ。初めて手にするまとまったお金で、何を購入しようか。春らんまんに心も弾むに違いない▼親世代にとってうれしいデータもある。今春の新社会人へのアンケートで、使い道を「親へのプレゼント」と6割が答えている。うち8割は食事に充てるという。手塩にかけて育てた子どもからの招きは、何よりの心の「サラリー」。思い巡らすだけで、お腹[なか]はいっぱいかも。<2024.4・25>

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