クレーで今季初勝利を挙げた大坂なおみが納得のプレーを振り返る「今日は間違いなく前を向けていた」<SMASH>

産休を経てカムバックした女子テニス元世界ランク1位の大坂なおみ(現197位)がクレーシーズン2戦目として臨んでいるWTA1000大会「ムチュア・マドリード・オープン」(4月23日~5月5日/スペイン・マドリード)。現地24日に行なわれたシングルス1回戦でラッキールーザー(予選敗者が繰り上がる措置)のグリート・ミネン(ベルギー/同69位)と対戦した大坂は、6-4、6-1で勝利し2回戦へ駒を進めた。

年明けに復帰して以降、試合を重ねるごとに調子を上げている大坂。しかしクレーシーズン初戦として参戦した先週のルーアン大会(WTA250)では初戦でマルティナ・トレビザン(イタリア/大会時78位)に屈していた。

挽回が期待される中で参戦を決めた四大大会に次ぐグレードのマドリード・オープン。同大会の会場は海抜600メートル以上と標高が比較的高いため、他のクレーに比べて球足が速く、大坂のようなパワーテニスを武器に持つ選手に有利に働く傾向が強い。事実大坂は2019年のマドリードでベスト8入りを経験しており、決して相性が悪い大会ではないのだ。

クレーシーズン初勝利を懸けたミネンとの初戦、大坂は前後の揺さぶりを交えた多彩な攻撃を見せる相手に食らいつきながらサービスキープを継続。しかしリターンゲームでは再三のチャンスを生かせないもどかしい展開が続く。

それでも5-4とリードして迎えた第10ゲームでは、持ち前の力強いショットを軸にストローク戦で優位に立った大坂がブレークポイントを取得。最後はミネンがダブルフォールトを犯し接戦の末に第1セットを奪取する。第2セットに入ると大坂が第1ゲームから5ゲームを連取するなど主導権を掌握し、1時間19分で試合を締めくくった。
試合後のインタビューで、コーチのウィム・フィセッテ氏とゲームプランをしっかりと練り、それを実行できたことが勝利につながったことを明かした大坂。勝負どころであと1本が出なかった後も気持ちを強く保てたそうだ。

「私は自分自身を卑下する傾向がある。特にブレークポイントを取り切るべきだったとか、もっとうまくやるべきだった、みたいに考えてしまう時にそうなりがちだけど、今日は間違いなく前を向けていたし、まだチャンスがあるだろうと自分に言い聞かせていた」

続けて大坂は自身のプレー内容について、赤土のサーフェスにうまく適応できたとし、クレー初優勝への意気込みも口にした。

「フォアハンド側で何度かうまくスライドできた時は興奮した。相手は本当に良いドロップショットを打っていたけど、私もいくつかのショットをかなりうまく打てたと思う。動きもずっと良くなっていると思うし、快適にプレーできていると感じる」

「クレーのトーナメントで優勝したい。復帰後初優勝がクレーの大会になったら、(私にとっては)予想外ではあるけど面白いと思うわ」

勝った大坂は2回戦で第15シードのリュミドラ・サムソノワ(ロシア/17位)と対戦する。次戦も日本のエースの奮闘を期待したい。

文●中村光佑

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