看護職員の長時間労働浮き彫りに 熊本県医労連調査 業務量増や人手不足

看護職員の労働実態調査を受け、診療報酬の引き上げを訴える熊本県医労連の田中直光書記長=18日、県庁

 熊本県医労連は18日、県内の看護職員を対象にした労働実態調査の結果を公表した。1カ月の時間外労働については3割超が20時間以上、1割が30時間以上と回答。看護師の「過労死ライン」とされる60時間以上とした人もおり、長時間労働の実態が浮き彫りになった。業務量増加や人手不足をうかがわせる内容もあった。

 調査は昨年7~9月、県医労連が加盟組合に調査表を送付。看護師と准看護師、保健師、助産師の計924人が答えた。

 1年前と比べた仕事量の変化では「大幅に」と「若干」を合わせ、増えたと答えたのは62%。年齢別でみると、最も多いのが40~49歳で30・6%、35~39歳が28・3%で続いた。県医労連は患者の高齢化や新型コロナウイルス対応が要因とみている。

 患者に十分な看護ができているかについては、「できている」が2・4%にとどまった。十分な看護ができない理由(複数回答)は「人員が少なく業務が過密」が84・3%で最多。次いで「看護業務以外の業務が多すぎる」が49・8%で、人手不足や業務量増加に苦しむ現状がみえた。

 仕事を辞めたいと思うかについては「いつも思う」と「ときどき思う」で計80%に上った。

 県庁で会見した県医労連の田中直光書記長(49)は「看護職を魅力ある職業にするため、診療報酬の引き上げで賃金を上げる必要がある」。同席した熊本総合病院看護師の羽木智子さん(59)は「時間に追われ思うような看護ができない。看護師の人数が増えるとカバーできる」と訴えた。(横川千夏)

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