オリンパス株式会社 八王子の新本社が始動 グローバル企業の拠点に 八王子市

シュテファン・カウフマンCEO(右)と田代芳夫執行役員 =石川町・グローバル本社前

内視鏡などの精密機械器具の製造販売で世界シェアを持つオリンパス株式会社(シュテファン・カウフマンCEO)が昨年より進めていた新宿区から八王子市石川町への本社移転が完了し、4月から「グローバル本社」として新たなスタートを切った。新本社には世界中の事業拠点やグループ会社を統括する本社機能とマーケティング・開発などの全事業機能を集約しているほか、時代に合った柔軟な働き方の推進にも力を入れる。

新本社の敷地は、同社の開発拠点「八王子事業場技術開発センター石川」があった場所。事業機能を集約し経営戦略と事業戦略を一体的に推進することで、メドテック(テクノロジーを駆使して医療にイノベーションをもたらす産業)の分野で世界をけん引するグローバル企業を目指すことを目的に移転統合が行われた。

先進技術を導入

敷地内の建物は7棟。移転に伴う改装が順次業務と並行して続けられ、2026年の春にはほぼ完了。建て替えが伴う最後の1棟も28年の竣工を予定している。

すでに改装を終えた建物では、研究室を区切っていた壁を取り払い、会議室もガラス張りにすることでお互いの顔や業務が見えるようになった。個人の席を固定しないフリーアドレスも導入し、社員間のコミュニケーションや部門間の連携強化を図っている。またIT化とコンシェルジュの配置で空間や機器を集中管理し、出社している社員や空いている席・部屋の情報、実験に使う道具などを共有化することで社員の事務的業務を削減。一人ひとりが専門性を生かした業務に集中できる環境を整えた。

多様な背景を持ったグローバルな人材が行き交うオフィスとして、表示言語の配慮やオールジェンダートイレの導入なども行っている。

地域連携も模索

移転に伴い所属従業員数が約1500人増え、6500人ほどになったが、出社率の平均は3割ほどという。コロナ禍で定着したリモートワークと出社を組み合わせた柔軟な働き方を推進する方針を継続しているためで、効率や生産性などを基準に部署や社員自身が出社と在宅を使い分ける。同社の働き方改革プロジェクトオーナーを務める田代芳夫執行役員は「イノベーティブなことを推し進めるには対面のコミュニケーションも大切。リモートワークとのバランスをとって進めていきたい」と展望する。

同社では以前より市内の学校で内視鏡教室の出張授業を行うなどの地域貢献活動を行っている。田代執行役員は「グローバル拠点となり、新しい地域連携・社会貢献の形も模索していきたい」と話している。

フリーアドレスを取り入れた社内(上写真)と480席ある社員食堂

© 株式会社タウンニュース社