水戸のウメ「植物遺産」 偕楽園、市植物公園130種 茨城

ナショナルコレクションに選ばれた偕楽園のウメ=2月27日、水戸市常磐町

全国の植物園で組織する日本植物園協会(総裁・秋篠宮さま)は「ナショナルコレクション」に、茨城県の偕楽園と水戸市植物公園が保存するウメの品種群「水戸のウメ」を認定した。市が24日、発表した。県内の植物が認定されるのは初めて。

同制度は日本の貴重な植物を後世に残そうと、2017年に始まった。国内で栽培する貴重な種を「植物の文化遺産」として継承、発展させるのが狙い。研究者などで構成する審査委員が現地調査などを行い、3月1日に第20号として認定された。

コレクションに選ばれたのは、偕楽園と市植物公園のウメ130品種。江戸時代の文献に見られる古典的な品種と、水戸で生まれた品種の両方が含まれる。貴重なウメを保有し、保存してきたことに加え、毎年「水戸の梅まつり」を開くなど、公開していることが特徴だ。

認定を受け、同協会の西川綾子会長は「色や咲き方、枝模様といったウメの個性を守り伝える足がかりとなる」と意義を語る。

偕楽園では徳川斉昭の贈り名にちなんだ「烈公梅」をはじめ、形、香り、色づきで特に評価が高い水戸の六名木など、101品種892本が認定された。植物公園は74品種148本が該当し、古典的な品種や枝に斑(ふ)の入る変わり種のほか、市内で誕生した「天守閣」や「寿」がある。両園でのみ見られるウメもある。

西川会長は「紅白梅の印象が強いが、ウメの多様性や観梅の奥深さを知ってもらうきっかけになる」と期待を寄せる。

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