「山口ういろう」はなぜぷるぷる食感? 秘密は原料に

ぷるぷるした食感の山口のういろう

 山口市や名古屋市、神奈川県小田原市など全国各地の名産として知られる菓子、ういろう。ぷるぷるした食感の山口ういろうに比べ、名古屋や小田原の製品はもっちりとしている。「原料に米粉を使わずわらび粉を使うのは山口だけ。ジャンルが違うと言ってもいいくらいです」。山口市の製造、販売の老舗である御堀堂の田中真樹社長はそう説明する。

 確かにういろうを「米粉に砂糖と水を加えて練り、蒸した菓子」と説明している辞書もある。地元山口では、その独特の食感を「おっとり」と表現する。のみ込む力の弱いお年寄りや子どもも食べやすい。口にした後、追っかけてくるような甘さも特長となっている。

 なぜ山口だけ原料が異なるのか。今の山口ういろうの源流である福田屋が江戸時代に原料を変えたとみられている。「盆地の山口市は平地が少なく米の一大産地ではなかった。代わりに大量に採れたわらびの粉を使って評判になったのでしょう」と田中社長は推測する。

 福田屋は昭和20年代に製造、販売をやめた。現在、山口県内の生産業者は山口市を中心に20社程度あるとみられる。風味はバナナやコーヒーなど多様になり、「飲むういろう」も登場している。

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